憲法の尊重なくして法治国家たりうるのか。

 いよいよ与党の解釈改憲「容認」へ向けた猿芝居は最終局面に到ったようだ。毎日新聞によると<協議会に提示された原案の概要は(1)日本への武力攻撃には至らない「グレーゾーン事態」(2)国際社会の平和と安定への一層の貢献(国際協力など)(3)憲法9条の下で許容される自衛の措置(集団的自衛権)(4)今後の国内法整備の進め方−−の4項目で構成されている>とし、現在公明党が難色を示しているのは<協議会座長の高村正彦自民党副総裁が示した「新3要件」案は閣議決定原案の(3)に「検討中」として盛り込まれ、「わが国または他国に対する武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるおそれ」がある場合>(以上『毎日新聞』引用)のうち「おそれがある」という文言だという。

「おそれがある」というのなら地球の裏側で起こった事態であろうと、首相が「おそれがある」と考えれば集団的自衛権の適用事態に当る、として自衛隊を派遣できることになる。それで日本憲法の第9条を純粋に国語として解釈して何ら問題がないと胸を張って言える人がいればお目に掛かりたい。そういう人物を『三百代言』というのだ。
 奇しくも高村副総理は弁護士資格をお持ちだという。彼は日本国憲法がいかなる精神で構成されているか、十分に学び、法治国家とはいかなるものかも一般の国民以上は学んでいるはずだ。彼の立場なら解釈改憲に突き進む安倍首相に「それは立憲主義に反する」として諌め、「立憲主義を否定しては日本は無定見な人治国家だと世界から笑われますよ」と諭さなければならない立場のはずだ。それが「「おそれがある」というのは一々個別的事例が挙げられないから限定列挙の代わりにそうした事態を表現したものだ」と言を弄すにいたっては『三百代言』の名を高村氏に贈呈しよう。

 自公政権が圧倒的多数を衆・参で占めたために、こうした暴挙が行われようとしている。それ以外にも国会で新自由主義へと突き進む法案が軒並み提出され、次々と成立しそうな勢いだ。まず限定性社員や残業代ゼロ法案などの雇用環境の改悪があり、ついで経済特区という地域限定への外国人労働者の移民政策法案や年金の減額を毎年行う法案の提出や配偶者控除廃止法案や法人税減税等々、安倍氏はこの国を米国のハゲ鷹にプレゼントするための味付けに躍起になっているようだ。
 国民やこの国の富は彼ら1%の連中への貢物であって、国民の生活を守るべき政治が『国民のため』という文言で国民生活を破壊している。その顕著な数字に生涯未婚率なるものがある。女性ですら10%を超えているが、男性に到ってはその倍以上の20%を超えるという深刻な数字だ。こうした事態で、どうやって少子社会から脱却できるというのだろうか。

 国が滅びる多くの原因は外敵ではなく、国内にこそその要因があるというのが歴史の教訓だ。中国は外敵を求めて国民の不満を政府へ向かうのを阻止しているが、それは余りに小手先に過ぎる。絶対的な権力は絶対的に腐敗する、というのが真理だと世界史は教えている。その教訓に学ばない共産党一党独裁政権で60年もやってきて、中国の政権は腐敗臭に満ち満ちている。民主化して絶対権力の存在をまず否定しなければ何事も進まない状態だと習主席が認識しなければ中国の崩壊は避けられない。
 どうように安倍氏の思い上がった政権の暴走をマスメディアが拍手喝采して囃し立てている状態では国民は不幸になるしかない。マスメディア世論調査なる摩訶不思議な根拠を一切ネットにアップしようとしない数字を毎週のように発表して、安倍政権を一心にヨイショしている。この国の異常な事態を招いている一因はテレビ支配までしている硬直的な寡占状態のマスメディアにある。つまり独占的な第三の権力も絶対的に腐敗するのだ。クロスオーナーシップの禁止は是非とも行うべきだ。電波の自由化を果たさなければ、『私は絶対中立だ』としたり顔した偏向報道機関が大きな顔をして国民をマスメディアの捏造した世論へと導く。それはいつか来た道ではないだろうか。憲法に定める自由を報道に関しても確立すべきだ。それは報道機関の自由であってはならず、国民の知る権利を担保するための自由であるべきだ。


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