日本国民と政府は日本のダウンサイジングに備えよ。

 安倍政権は来年から20万人規模の労働移民を受け入れて、労働人口の減少を女性の労働力化と併せて穴埋めしようとしている。それにより経済成長を続けるとしているが、果たして可能なのだろうか。
 GDPを構成する2大要素は消費と投資だ。人口減社会で消費は増大することはなく、減少するとみなすのが正常な予測というものだ。投資に関しては日本企業が国内から海外へと移転が続けば、企業投資は引き続き減少すると見なければならない。政府による財政投資は財政の窮乏により困難になっているし、税収に関しても『金の卵を産む国民所得』に消費増税という悪手を打って手を突っ込んでしまい、元も子も失いかねない状態へと突き進んでいる。来年10月から10%消費税なぞは狂気の沙汰というしかない。国民経済を破壊して国家が富んだ歴史は古今東西のどこにもないことを政治家と官僚たちは知るべきだ。

 まずは国民を富ませることが何よりも重要だ。企業や投資家たちを富ませても、それが国民への分配が促進されなければ富の偏在と社会格差を増大させるだけだ。国民に対してテレビなどが富豪となった芸人たちの豪邸や貯蓄高を喧伝する番組があるが、なんという品のなさだろうかと怒りを覚える。
 日本国民で10億円などという富が必要だろうか。一切金利がつかなくて年間1000万円消費して100年も賄える富が必要だろうか。3億円にしても年間1000万円消費して30年も賄える。それを芸人たちが数億円もの貯蓄をし、数億円もの豪邸に暮らすのは個人の自由としても、それをテレビなどで宣伝する必要はない。国民に富への渇望を掻き立て、富を手にすることが人生の最終目標であるかのような錯覚に陥れる愚かさに気付くべきだ。

 政治家たちは年間一人当たり1億円もの総経費を税から支払われている現状に恥じて『減額要請』を行うのが正常な精神というものではないだろうか。せいぜい500万円程度の議員個人に対する報酬を保障すれば良く、あとは現行の公的給与を支給している政策秘書と2名の秘書程度で政治活動を行うのに何ら不便はないはずだ。
 それが不足だというのなら政治家を辞めて働けばよい。政治家は特殊な特権階級であってはならない。庶民のやや高位置程度の年収で暮らして、庶民感覚を失わない方が真っ当な政治が行えるだろう。都議会議員で月額100万円を超える報酬なぞ、異常だと誰も思わないのだろうか。都議程度の仕事なら年間報酬が450万円もあれば良く、それが貧乏だというのなら勤労者平均年収が409万円程度だということを噛み締めて働くことだ。

 まず政治家諸氏が常識的な報酬へダウンサイジングすることにより、官僚や公務員に年収の減額を命じることができるだろう。それで人事院勧告に反し、憲法違反だというのなら労働三権を聖域なくすべての公務員の職種に認めて国民代表の報酬審議会と公聴会を行って公務員報酬を決めるべきだ。
 政治家と官僚たちのお手盛りごっこによる税のブッタクリと増税の悪循環を断つ覚悟のない政治家はご遠慮なくバッジを外して頂くしかない。そして高額所得者にはかつての超過累進税率を復活させて、応能負担をこの国の原則として復活させるべきだ。薄く広い消費税が平等だなどと国民に刷り込んだマスメディアや評論家たちの大嘘をしっかりと政治家は認識すべきだ。

 日本は出生率のが.07を切り続けている限りダウンサイジングは避けられない。一体いつまで対前年比増の国家予算を組み続けるつもりなのだろうか。いい加減、高額年金はぶった切って、最高年金年支給額を夫婦二人の所帯で300万円程度と決めるべきだ。その代り、生活できない国民年金などといった社会保障でもなんでもない制度をキッチリと社会保障たる一律最低年金を定めて、一人当たり年間120万円を65歳以上の国民に一律支給するとすれば良い。
 その上で、総所得が450万円を超えれば超えた部分の年金を全額カットすれば良い。それでは老人が働く意欲をなくす、というのなら働かなければ良い。老人がいつまでも職にしがみつくよりも若者に譲るべきだ。特に高額年俸を手にして碌な仕事もないポストに座っている官僚の天下りたちにはドンドン引退して頂きたい。

 100億円の豪邸に暮らそうと、死ねば裸で煙になるだけだ。日本人にはそうした諦観の死生観があったはずだ。巨万の富を手に入れることは恥ずかしいとする金銭感覚があった。
 伊藤博文氏はかつて伊藤町と称していた地に広大な敷地があったが、屋敷は粗末なもので明治天皇が訪問しようとして事前に宮内庁の者が調べたら車回しどころか天皇陛下がお寛ぎになられるように部屋すらないことから訪問を取りやめられたという逸話が残っている。
 伊藤博文邸の広い屋敷には多くの若い書生たちを住まわせていたという。彼らの多くは維新前後に戦死した兵士たちの遺児たちで、伊藤博文は彼らに援助の手を差し伸べ学問をさせていた。ハルピン駅頭でテロリストに暗殺されて国葬となったが、伊藤邸の余りの貧相さに政府は特別支度金を与えて屋敷を改装させている。

伊藤博文氏は政界で派閥を構成することもなく、初代総理大臣を務めた人物が格下の朝鮮総督の下命を受け入れて、朝鮮半島の独立のために尽力していた。彼の朝鮮半島独立に対する情熱は日清戦争講和の「下関条約」の第一条に記されている。その朝鮮半島併合に反対していた伊藤博文氏が暗殺されるや、翌年には併合されてしまった。
 現代政治が現代史を正確に国民に教えていないとすればこれほど悲惨なことはない。歴史の勉学は未来を拓くためにする学問だ。それを捻じ曲げて真っ当な未来は拓けない。

 安倍氏は威勢よく「岩盤規制を打ち砕く」と発言しているが、打ち砕くべき「岩盤規制」は安倍氏の頭の中にある既成観念そのものではないだろうか。規制緩和をすれば良くなる、と国民に幻想を信じさせたのは小泉・竹中『構造改革』だった。しかしその結果は見るも無残なものになっている。
 その二幕目を開こうとして竹中氏がゾンビのように政権内に蘇っていろいろと画策しているようだ。安倍氏には竹中氏ともども一日も早く退陣して頂きたい。そして日本のダウンサイジングに備える清貧の政治家が登場することを心から願う。


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