三権分立の司法たる福井地裁判決を行政は尊重せよ。

 昨日関西電力大飯原発3,4号機再稼動に対して福井地裁<樋口英明裁判長は住民側の主張を認め、運転差し止めを命じた。東京電力福島第1原発事故を念頭に「大飯原発は地震の際の冷却や放射性物質の閉じ込めに欠陥があり、原発の運転で人格権が侵害される危険がある」と厳しく指摘した>(以上「毎日新聞」引用)
 政府は原子力規制委員会が再稼動を巡って基準を審査している最中であり、粛々と手続きを進める、とのコメントを出して直ちに控訴するとしている。なんという横柄さだろうか。

 福井地裁が問題とした原発の基準を超える地震はこの10年間に5回もあったという。まさしく地震列島の日本で原発を稼動することは危険極まりない。これまで政府の原発行政を是認する方向で推移してきた司法が独自性を発揮した最初の判決だ。
 ただ、高裁や最高裁が政府・行政の要望に応じて原発容認の判決を下さないとも限らないためまだまだ楽観はできない。『砂川判決』にしても一審の地裁判断では『駐留米軍は戦争放棄憲法に違憲』だとする判断だった。それを政府は最高裁に米国とともに圧力をかけて駐留米軍は合憲とする『砂川判決』を引き出した経緯がある。最高裁は憲法の番人というより政府の飼い犬と呼ぶにふさわしい過去の実績がある。決して油断はならない。

 福井地裁判決の今一つの画期的な判決内容は原発から半径120㌔圏内の住民に原発に関する訴訟権があると認めたことだ。それはこれまで原発から半径30㌔圏内の地方自治体の合意形成を原発建設の要件としてきた行政判断を大きく超えるものだ。しかし福一原発放射能漏れ事故の拡散状況を見ると30㌔圏では話にならないことは歴然としている。
 しかし海や放射性物質の拡散を見る限りでは120㌔圏でも十分とはいえない。原発が一旦放射能漏れ事故を起こすと、その影響は広範囲に及び様々な地点にホットスポットを作ることは既に証明されている。

 福一原発事故の際、静岡県の茶が高濃度汚染されていた事実を忘れてはならない。東京を飛び越えて静岡県が新茶の出荷を取り止めるほど汚染された、ということは科学的には考えられないことだ。当然、静岡県の風上に当たる東京も『新茶が出荷できないほど』以上に汚染されていると考えるのが正しいだろう。
 原子力規制委員会は福一原発の事故は津波による全電源停止を原因としているが、吉田調書を見る限りでは地震そのもので原発が致命的な損傷を受けていた。それはおそらく巨大な釣鐘のような原子炉とその中に無数に走っている高圧蒸気の詰まった細管の『振動周期』のずれによる破断が起こっていたと考えるべきだ。そうした事故原因の徹底究明もなく再稼動を急ぐ『原子力規制委員会』とは一体何を規制している委員会なのか、実態を明らかにすべきだ。

 政府が創設するすべての委員会や諮問会議や研究会に集まる学者や官僚上がりの連中や評論家たちがどれほどイカガワシイものか。安倍政権も仲間やお友達を集めて委員会などを作って仲間内の議論だけで暴走しているが、いい加減目を覚ますべきだ。
 こうした猟官だらけの現状を作った元には政府や米国に屈した『砂川判決』の最高裁があるといわなければならない。政府の犬に堕した司法の憲法に定める司法たる存在を示すためにも上級審は福井地裁の判断を簡単に覆してはならない。


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