『国家戦略特区』構想は小賢しく規模の小さく経済成長の牽引力はない。

 全国に六ヶ所『国家戦略特区』構想を指定し、岩盤のような農地に関する規制を安倍内閣はドリルとなって打ち破ると気勢を上げた。それらを経済成長を促す戦略とするアベノミクスの第四の矢とする、という。
 しかし安倍政権の経済成長戦略は余りに小賢しく規模の小さなもので国家全体として経済が力強く成長するとは到底考えられない。そもそも異次元金融緩和と経済成長政策は同時に打ち出すべきだった。異次元金融緩和が企業の設備投資に向けられ中国や韓国からUターンする企業や海外からのIターン投資に資すべく制度作りをしておくべきだった。

 すべてがチグハグなのは農地規制緩和に関しても言えるだろう。現行制度の何が問題なのか、それは指摘されて既に久しい。
 まず急がれるのは農地が農地として利用形態を硬直的にならしめている農地法の規制緩和と利用促進助成制度の創設だ。岩盤のように硬直的なのは『農業振興地域』の農地だ。農地以外にはまず使えないし、すぐ傍まで宅地化が進んでいようが工場が迫っていようが農地以外に使用できない。

 昭和40年台から各地で土地の用途別利用が定められた。各地の都市計画法による工業地域や住宅地用途指定などだ。それらは概ね現況を是認して指定したものだが、すでに半世紀近く経過して規制法的な側面ばかり目立って来た。
 土地利用で最たる規制法は農地だ。農業振興地域以外の農地は農地法4条や5条申請で転用できるとしているが、それも農業委員会の審査を通過してのことだ。農業委員会が農地転用に同意しない限り農地として使用するしかない。結果として『耕作放棄地』が荒地となり拡大し続けている。中山間地の耕作放棄地は放棄されて十年もたてば周囲の山と同化してしまう。

 農地を守るはずの農地法が耕作放棄地を拡大させているのは皮肉というしかない。それでも農地転用を申請すれば農業委員会は『耕作すれば農地だ』との理屈により転用を認めようとはしない。
 現況は農地でなくても土地台帳に乗っている限り農地として彼らは彼らの権限で転用を認めないようにする。それが『硬直化』している何よりの証拠だが、農業委員会は既得権益化して時代の要請に背を向けたままだ。

 安倍政権が岩盤を打ち砕くドリルとなると表現したが、どの程度の政策が打ち出せるか御手並み拝見だ。しかしそれでは法案化して実施に到るまで数年を要し、安倍政権下で経済成長に資することが出来ないのは明らかだ。
 すべての政策が余りに遅すぎる。しかも規模が驚くほど小さく、日本全体からみれば部分的に過ぎる。しかも産業分野まで地域ごとに定めるとは狂気の沙汰だ。どの産業分野であれ、何処であれ、日本国内に新規生産設備投資があれば優遇し助勢すべきだ。安倍政権は何か勘違いしていないだろうか。政府が旗を振ればこの四月のベアのように財界は応じて踊ると思っているとしたら大間違いだ。官僚たちが作文した『国家戦略特区』構想は民間活力を引き出す前に失速し画餅に帰すだろう。

 

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。