人類の未来のために戦後史観から脱却しよう。

 戦勝国の徹底した戦後教育により日本国民に東京裁判史観が刷り込まれて久しい。確かに日本は独立するに当たって「極東裁判のジャジメントを受け容れるとするサンフランシスコ講和条約を締結した。
 しかし、それはジャジメント(判決)であって、コート(裁判)を受け容れたわけではない。だから講和締結により独立を果たすと、日本政府はA級戦犯として拘束されていた巣鴨プリズムを釈放した。既に判決により処刑された人たちが生き返ることはないため、国際法を無視した事後法により敗戦国の指導者を裁くという愚挙は是認し難いが、そのことにより戦勝国の罪を後々問わないとしただけだ。

 しかし、ジャジメントを受け容れるとしたことを「東京裁判史観を受け容れたのだ」と曲解した評論家や言論人がいることに驚く。確かに歴史は常に勝者によって書かれるが、日本は日本国民の未来に送るべき日本の歴史書を書かなければならない。
 国際的に戦争は外交の最終手段とされている。つまり国際社会で戦争は放棄されていない。世界で日本だけが戦争を放棄している隙に乗じて韓国は竹島を不法占拠し、中国は不埒にも尖閣諸島を奪おうとしている。ロシアは火事場泥棒により敗戦直後の日本から奪った北方四島に居座り続けている。

 だが憲法に定める戦争放棄の規定は、日本に現憲法を提示した米国により実質的な骨抜きにされている。朝鮮動乱の厳しい戦局の場面で、米国は簡単に「戦争放棄」規定の撤回を実質上行い「警察予備隊」を創設して元帝国日本軍人たちを組織した。
 米国は理念の国ではない。プラグマティズムという功利主義の国だ。役立つモノは了で、役立たないモノは無用だと切り捨てる。米国独立戦争に勝利して以来、米国に軍事力で互角に渡り合った国は日本だけだ。その恐怖感は異常なほど強く、米国は国際法に背き原爆を二度に亘って用いて非戦闘員を大量に虐殺した。つまり米国にとって憎むべき日本だったわけだ。

 しかし朝鮮動乱が起こり戦局が厳しくなると背に腹は代えられないと、米国は元帝国日本軍人を活用することに決めた。それが自衛隊の始まりだ。ただ再び米国に戦いを挑まないように「日米安保条約」を締結して、サンフランシスコ条約発効と同時に進駐軍は駐日米軍と呼称を変えた。
 実質的に在日米軍が駐留軍であることに変わりないのは日本の首都圏を抑え込むように展開している米軍基地の布陣を見れば一目瞭然だ。日米安保条約は「日米同盟」ではない。同盟ではなく、米国による日本支配に他ならない。

 日本が備えるべきは米国が中国と手を握る最悪の事態だ。その可能性はゼロではない。米国はプラグマティズムの国だと書いた通り、中国が日本以上に米国に役立つと判断すれば米国の外交・軍事方針はがらりと変わるだろう。
 安倍氏は米国のポチと化しているが、しかしソチ開会式へもプーチンに尻尾を振る愚かな犬のように出向いている。これほど節操のない政治家も珍しい。ロシアは放置していてもロシアから日本に擦り寄って来る。なぜならロシアは日本に天然ガスを買ってもらいたいからだ。ロシア国民に北方四島の真実を宣伝して教えない限り、恥知らずにも火事場泥棒を働いて掠め取ったものではなく、堂々たる戦争により勝ち取った戦利品だと思い込んでいる限り、日本にプーチンの胸三寸一つで返還されることは決してない。安倍氏は飛んでもない勘違いをしているとしか思えない。

 戦後生まれの国民が大半を占めている日本はいい加減東京裁判史観の桎梏から脱却して、世界を俯瞰して国家の未来を策定すべき時に到っている。客観的に太平洋戦争当時の世界のありようと、その中でいかに先人達が活路を見出そうと模索していたのかを知るべきだ。
 井上馨の鹿鳴館を揶揄するのは簡単だが、そうせざるを得なかったのはなぜか。初代総理大臣を務めた伊藤博文がハルピンでなぜテロリストの銃弾に倒れたのか。そうした歴史を俯瞰的な立場からしっかりと検証すべきだ。そしてそれを現代の日本国民に教え広めなければならない。世界は未だに戦国時代さながらの軍事力崇拝全盛期にある。その実証例は中国だ。日本が経済成長に手を貸し、経済力を手にすると日本の領海へ土足で踏み込んで来た。彼らに信義や礼節を説くのは無駄だ。軍事力の備えなければ中国の属国に組み込まれるだけだ。恰も現在が米国の属国に組み込まれているかのように。

 だから米国は安倍氏の靖国参拝にディスアポイントしたのだ。靖国神社は東京裁判史観の対極にある。米国は靖国参拝によりGHQ支配の呪縛から日本が醒めるのを恐れている。しかし戦後を支配してきた東京裁判史観から脱却しない限り、日本の戦後は終わらない。


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