安倍首相の判断は混乱しているようだ。

 最近の安倍氏に対する物議を醸している事柄の中で「集団自衛権は閣議決定する。政府の最終責任者は私だ」という発言と、安倍氏の特別補佐官衛藤氏が「安倍首相の靖国参拝に米国が失望したと表明したが、私はそんなことをいう米国に失望した」という発言が同一の「右傾化」として批判されているのに違和感を覚える。
 集団的自衛権の行使に関してこれまで歴代内閣は極めて慎重に取り扱い、憲法解釈もあるため内閣法制局の判断に従って来た。もとより内閣の仕事は憲法の規定内にあるべきとされている。何事も日本国憲法を逸脱して公権力を行使することは出来ない。

 <日本国憲法 第81条は、日本国憲法第6章にあり、最高裁判所が違憲法令審査権を 有する終審裁判所である旨を規定する。 ... 第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、 命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所 である。>と規定している。つまり内閣の発するすべての命令や通達までも最高裁判所の憲法判断の範疇にある。だから内閣総理大臣が「私が最終責任者だから、私が集団的自衛権を判断して結果責任は選挙で取れば良い」という仕組みにはなっていない。総理大臣が勝手に暴走して憲法を逸脱したと判断したら最高裁判所は行政権を停止するこができると考えられる。
 選挙で国民の支持を得ようと、憲法違反と裁定が下れば行政権の最高府たる内閣も命令を取り消さなければならない。だから事前に内閣法制局が行政執行の権能が憲法を逸脱していないか法論理に基づいて専門家の立場から判断しているのだ。

 安倍氏が集団的自衛権を閣議決定して国会で議論して頂けば良い、という発言自体が既に行政権の権能を逸脱している。まずは内閣法制局の判断に従って集団的自衛権が憲法で許される範囲とはいかなるものかを定め、それを国会で議論した上で閣議決定されるべきだろう。
 安倍氏の考える集団的自衛権が内閣法制局で受け入れられなければ、それは総理大臣の権能で強行突破すれば良いというのではなく、憲法規定の変更をしなければならないということだ。

 しかし衛藤氏の「日本の方こそ米国には失望した」という発言は何も間違っていない。安倍氏が靖国神社を参拝するのに一体誰の許可を得なければならないと日本国憲法に定めているのだろうか。むしろ思想・信条の自由が憲法に定められている。安倍氏が何を信心しようが何に熱狂していようが、それは安倍氏の自由だ。靖国神社が戦犯を祀っている、というバカな発言をする学者や評論家たちがいるが、すでに日本は国会で全会一致によりすべての戦犯は名誉回復されている。A級戦犯などという符牒は米国を主体とする占領軍GHQ支配による国際法違反の産物だ。そんなものを戦後70年以上も経過しようとしている現代でも有難く頂戴しているとは恥ずべきことだ。日本が真の独立国家として歩むために米国による戦後日本支配の残滓たる東京裁判史観の呪縛から目覚めなければならない。

 憲法で戦争を否定している国家は世界200を超える国々の中で日本だけだ。つい先日、ダボス会議で中国高官は「中国が尖閣を軍事侵攻して、それで大規模戦争に繋がっても仕方ない」と発言している。東アジアの中でも中国は国際的な争点を戦争によって解決しようとする垣根の最も低い国だ。1948年の建国以来でも中国は旧ソ連やインドやベトナムなどの隣国と何度戦争をやって来たというのだろうか。
 そうした近隣諸国を持つ国家・日本の首相が戦没兵士が祀られている神社を参拝するのは当たり前のことだ。国家と国民のために命をささげた人々に尊崇の念を表明して、何が米国の失望を買ったというのだろうか。そうした米国にこそ日本国民は失望すべきだ。中国のいわれなき靖国批判に屈するような米国で日米安保条約がイザという場面で機能するのか、国民の莫大な税と基地負担まで負って米国に便益を与えている安保条約が役立たずの紙屑証文ではないのかと疑念を持たざるを得ない。

 それならより一層早く憲法改正を果たして、日本も世界唯一の「戦争放棄」などという憲法を持つ特殊な国から脱却すべきだ。中国が尖閣を侵攻した際に米軍は高みの見物に終始する可能性がある。日本が独自で国家と国民を守る防衛体制へ軍備すべく法整備すべきだ。首相の独自の判断で「何でも出来るンだ」と餓鬼じみたことを口走らないで、安倍氏は当初の憲法改正に進むための手続き改正に邁進すべきだ。
 味噌も糞も一緒にしてはならない。すべては国家と国民の未来のために何をなすべきかを考えるべきだ。

 

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