経済団体による賀詞交歓会で語られた「景気上昇」予測は本物か。

 仕事始めを彩る経営者団体の「賀詞交換会」で、集った経営者たちがテレビカメラの前で景気上昇と賃金アップを滲ませる発言を異口同音に繰り返していた。それは安倍首相の異例なベースアップを経営者に求める発言を繰り返していることに対するリップサービスなのだろうか。
 冷静に経済を見れば景気が上昇する要素は何もない。国内的には景気を浮揚させる主力エンジンたる個人消費に冷や水を浴びせる政策が目白押しだ。国外的には主要取引先になっている中国とは外交だけでなく経済までもおかしくなり、貿易額が増加する環境にない。

 安倍首相は盛んにアベノミクスを強調するが、アベノミクスは日銀による異次元金融緩和以外に具体的な政策が未だに何も発動していない。投資減税なども掛け声だけが先行し、具体的な実施策が表面化すると同時に投資減税の景気に対する効果は疑問視されている。
 つまり経済特区を決めてそこに企業が投資した場合に減税するというもので、それなら「経済特区」指定が思惑絡みの工業団地在庫一掃セールや不良債権化している土地の政治的なセールスに使われる可能性が大で、官僚による官僚のために投資減税に化けて終わりそうだ。広汎な経済拡大の補助エンジンとしての投資減税効果すらないものと思わざるを得ない。

 しかも特区構想の悪しき副作用として「限定正社員」構想がセットにされる可能性すらあることだ。正規雇用の非正規化といわれる「限定正社員」などは労働界が真っ先に反対の狼煙を上げるべきだが、官僚化した連合の御老体幹部たちは寂として声すら出ない。
 そもそも労働分配率が低下してきた原因の一つに労働界のあり方も指摘され非難されるべきではないだろうか。彼らは経営者側とうまく立ち回り、労働組合から外れた後に企業側にしかるべきポストを用意して頂く、という慣行すらあるようだ。それなら労働組合は労働者のためにあるのではなく、組合幹部のためにあると批判されても仕方ないだろう。そうしたこともあってか労働組合組織率は全労働者の17%ほどまでに低下しているという。一時はパートや派遣労働者までも組織化しようと意気込んでいた連合の行動目標は一体どうなっているのだろうか。

 中国の人件費が安い、といわれれば国内工場を閉鎖して中国へ安易に展開した無能な経営者たちと、労働組合費を頂戴して専従として組合員のために働くはずの組合幹部が自分たちの保身のために経営者側に擦り寄り牙を抜かれている現状は緊張感の見られない弛緩しきった切れる寸前のパンツのゴム紐のようだ。
 そこに掛け声だけは勇ましいが中身は何もない安倍首相とは絶妙の取り合わせだが、彼らに経済政策を委ねるしかない国民はいい面の皮だ。それに輪を掛けてヨイショしか流さないマスメディアとくれば国民は闇夜の騙し討ちにあうようなものだ。その騙し討ちはあと四ヶ月後、四月に消費税8%でやって来る。


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