原発再稼働を推進する「原子力規制委員会」とは何を規制する委員会なのか。

 昨日付(1/8)の日経新聞によると<原子力規制委員会は8日、関西電力の高浜原子力発電所3、4号機(福井県)を現地調査した。再稼働に向けた安全審査の一環。原発設備の審査を担当する更田豊志委員は調査後、記者団に関電が今夏までの再稼働を目指す>(以上引用)と報じている。関西電力の高浜原発再稼働に向けて「原子力規制委員会」が何やら策動しているようだ。
 名は体を表す、とは昔のことのようだ。「規制」委員会と称しているが実態は「推進」委員会そのものではないか。原発行政に関わる人たちは揃いも揃って福一原発の甚大な放射能漏れ事故の原因調査どころか放射能漏れそのものも収束していない、いや溶解して原子炉から溶け落ちたとみられる核燃料の存在場所すら特定できていない、つまり壊れた原子炉の周辺にすら近づけてさえいない手付かずの状態だということを忘れたかのようだ。

 この国のマスメディアはなぜか放射能漏れに鈍感で、世界のマスメディアが汚染水漏れを逐一大きく報じているにも拘らず、安倍首相の「完全にブロックされコントロールされている」という発言のウソを言葉のアヤに矮小化してしまった。
 忘れてはならない。福一原発は津波で非常電源までも喪失して冷却水が止まったことによる核融合反応が暴走したことによるメルトダウンではない。地震があった段階で原発のオペレーションルームのあらゆる警報ランプがともり、警報音が鳴り響いたことによりオペレーターたちが浮足立って原子炉建屋から逃げ出したとの証言を。福一原発事故は津波によって起こったのではなく、その30分も前の地震によって原子炉が大きな損傷を受けていたと考えられることだ。

 その解明なくして原発の再稼働はあり得ないし、放射性廃棄物の最終処分場の確保と沿い集処分の手順がキッチリと国民の前に示されるまでは断じて再稼働すべきではない。いや、原発は「想定外」の事態により放射能漏れ事故を起こすと、地球のすべての生命に対して深刻な影響を及ぼすことから、速やかに廃棄すべき発電装置だ。
 電気は確かに国民生活や産業活動に必要不可欠だが、それでも地球のすべての生命体の存在を脅かして良いわけはない。電気はしょせん電気だ。それ以上でもなければそれ以下でもない。原発を食い物にしている人たちにとっては生活そのものかもしれないが、それでもほかの生命体に脅威を与えて良いはずはない。

 福一原発事故以降、実質的に原発なしでも電力供給に支障は出ていない。この夏に高浜原発の再稼働を目論む目的は一体何なのだろうか。政府はメガソーラーの補助事業をこの三月いっぱいで受付を打ち切るという。自然エネルギー利用などの多様なエネルギー源確保を目指すとしていた方針も自民党政権になって大きく後退しているようだ。
 喉元過ぎて熱さを忘れる、という言葉があるが、まだ福一原発事故現場は喉元にあって熱さにのた打ち回っているのにマスメディアがそうした情報をめったに報道しないため、国民の多くは福一原発放射能漏れ事故は過去の出来事のように思い始めているとしたら問題だ。体を表さない名称は実態に即したものに改めるのが真面目な態度だろう。政府の「原子力規制委員会」は「原子力推進委員会」と看板を掛けかえることを提言する。


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