与野党を識別するリトマス紙は「消費増税」だ。

 政治は国民のためにある、というのは常識だ。まず国民の暮らしがあって国家がある。国民の住を充足し生活を充足するための環境を備えているのが国土であり、国家だ。
 国家は政治体制そのものではない。政治体制は国民の暮らしをよりよく充足させるための仕組みでしかない。かつて夜盗が横行し武装集団が我がもの顔に住民から収奪する時代があった。そこでより強い武力集団が弱い集団を従えて武家社会を形成した。強力な中央集権国家として1192年から1867年まで続いた武家の社会も民度の向上により潰え去った。

 明治維新を迎えて日本は議会制民主主義を新しい国家統治の仕組みとして採用した。明治新政府要人は数年をかけて欧米を大挙して巡り議会制民主主義の先進国を視察し、新しい統治の仕組みの手本とした。
 しかし議会制民主主義が万全でなかったことは先の大戦でナチスを民社的な手続きで政権に就けたドイツ国民や軍部の台頭を抑えられなかった日本で実証済みだ。さらに民主主義に磨きをかけて「国民による国民のための政治体制」とするために戦後ドイツや日本で様々な仕組みを設け、二度とナチスや軍部の台頭を合法的にであれ許さないように腐心してきた。

 しかし今日、日本には未だに戦前の残滓を宿したまま非民主的な体制のまま温存されている唯一の巨大な仕組みが社会に存在しているのに気付かざるを得ない。それはこの国のマスメディアだ。
 戦前軍部の台頭に手を貸したのもマスメディアの皮相な国粋主義的な煽り記事の垂れ流しにあったことは誰にも否定できない事実だ。そうした江戸時代の「瓦版屋」の遺伝子を持ち続けているマスメディアが新聞のみならずテレビ電波事業まで牛耳っていることに恐怖を覚える。

 記憶も新しいだろうが、小沢一郎氏が三年半も「陸山会事件」で検察のでっち上げによる「情報」をノーチェックで垂れ流したこの国のマスメディアの「犯罪」を忘れてはならない。「赤信号みんなで渡れば怖くない」というギャグがかつて世間を席巻したが、この国のマスメディアは親鴨に従うよちよち歩きの子鴨のように検察の後に従って「人格攻撃」というマスメディアが犯してはならない「権力の広報機関」の領域に踏み込んだ。
 小沢氏が無実の身となって、この国のマスメディアの何社が「お詫び記事」を掲載しただろうか。テレビ局の何社がMCやコメンテータたちに頭を下げさせただろうか。彼らは未だに平然とテレビ画面に登場して国民に「教えてやるぜ」と上から目線で時事を報じ解説している。何という厚顔無恥な連中だろうか。

 そして新聞社やテレビ局の経営責任者の誰一人として検察情報を垂れ流したマスメディアの責任者として、結果として総理の椅子から小沢一郎氏を引き摺り降ろす官僚たちの策動に加担し「民主主義の破壊」を実行した責任を取って辞任した者は一人もいなかった。
 その程度の認識だから未だにみんなや維新や民主の一部国会議員たちによる「仲良し会」創立の話し合いを「野党再編」だと囃し立てているのだ。冷静に彼らの行動原理を観察すれば、彼らは「野党」ではなく「自民党」になりたい議員たちだと気付くべきだ。なぜなら彼らは「消費増税」に賛成した国会議員たちだからだ。

 社会保障の財源として消費税が最適だ、というのは財務官僚がマスメディアを通して世間に垂れ流した「噴飯もの」の大嘘だ。社会保障とは「負担は応能で、支給は一律」というのが大原則だ。消費税は負担能力があろうが無かろうが消費から税を徴収する実に暴力的な税金だ。ただ景気変動にあまり関係なく納税額予測が立つため、予算を所管する財務官僚が重宝にしているだけだ。
 それだけの理由では「消費増税」を国民に納得して頂けないと考えたため、国民に給付する「社会保障の財源にする」という名目だけを広めたに過ぎない。実際は社会保障の財源にもなっていないのは御存知の通りだ。

 だから「消費増税」に賛成した政治家は官僚のポチに過ぎず、彼らは官僚たちの目指す社会「1%の者に奉仕する社会」の実現にこの国を変えて行こうとする政治家たちだ。それに対して「消費増税」に反対した共産党以外の政治家たちは99%の国民の生活が第一に考える政治家たちだ。共産党を除いたのは彼らはなんでも反対する政治家集団だからだが。
 政界再編は「消費増税」に反対した政治家たちが結集してこそ自民党に対抗する真の野党再編といえる。円安インフレを招いて「デフレ脱却だ」と凱歌を上げるバカな政治家や評論家たちの口車に乗ってアベノミクス称賛を連呼するマスメディアは常軌を逸している。

 今年も経済が良くなる(去年良くなったのは株価だけなのだが)と予測する経済評論家ばかりがテレビに登場していたが、GDPの45%を占める個人消費を消費増税や社会保障の給付削減や負担増などで冷やして、それでも景気が上向くというのは個人消費を補って余りある貿易増か政府財政出動しかあり得ない。
 だが、貿易は中・韓との関係悪化から増加は見込めないし、財政出動も大盤振る舞いの公共事業が資材の高騰と職人不足から各地で「入札不調」に陥っている現状を見れば消化不良状態にあることは一目瞭然だ。今年冷え込むだろう個人消費を補って余りある景気のエンジンは何処にも見当たらない。つまり必然的に景気は悪化する、と考えるのが常識的だろう。

 安倍政権は今年中に行き詰る。野党議員は「消費増税」賛否をリトマス紙として、真の野党議員による再編を小沢一郎氏を中心に行うべきだ。他のマスメディア頼りの嘴の黄色い政治家たちではたとえ政権交代を果たしても菅氏や野田氏のように官僚たちにたちまち捻り潰されてしまうだろう。
 みんなや維新や民主の一部議員たちが「当選したい病」の発症で右往左往しているから自民党補完勢力の炙り出しは彼らが自ら行っているようなものだ。真の野党再編は粛々と小沢氏を中心に推進すべきだ。


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