まだ何も始まっていない勘違いだらけのアベノミクス。

 自民党大会で安倍首相は随分と上機嫌だったようだ。いわゆるマスメディアが囃し立てるアベノミクス効果で安倍政権の支持率が一度も50%を切っていないためのようだ。
 しかし何度もこのブログで書いているが、アベノミクスの実態は日銀の黒田総裁が異次元の金融緩和を実施している効果によるもののみだ。政府が実施している経済政策は大盤振る舞いの公共事業だけで、それらは各地で入札不調になり事業実施率は近年になく低下している。それで次年度以降へ「明許繰越」すべき公共事業予算が、実質的に次年度以降に繰り越し効果を持つ官僚の別荘造りの各種「基金」に回されている。一度、基金に回されれば次年度以降何に使われているか政治家のチェックの目は届きにくい。

 だから安倍政権として国民経済に何かをしたかというのは殆ど皆無というべき状態だ。ただ消費増税対策として法人税減税や経済特区とそこでの投資減税を行うとの法案整備をしつつある状況にあるだけだ。
 それで安倍首相は自民党大会でも「企業よ労働分配率を上げてくれ」と痛切な叫びをあげている。消費増税により年間平均所得世帯で十万円近くも可処分所得が減少するため、それを補って余りある賃上げがなされなければ個人消費が落ち込むのは自然の理だから、安倍氏が必死になるのだ。

 ただ安倍氏のブレインたちは何を考えているのだろうか。法人減税をすることが経営者が労働者賃菌を上げる動機にはならないことを全く理解していないようだ。
 むしろ法人税減税は労働者賃金を支払った後の課税利益に課す税率が引き下げられるのだから、内部留保を増やすことが自らの経営者としての手腕が評価される基準だから法人税減税を歓迎するだけで、企業は結果として内部留保が増加するだけだと考えるのが順当なものの見方だ。労働分配率を上げたいのなら、前年比増させた労働分配比率分だけ法人税を減税する、という仕組み歩考えた方が良かった。しかし安倍政権のブレーンはそうした論理展開すらできない暗愚な経営者利益のみを最大化する思考回路の持ち主ばかりだということなのだろう。

 安倍氏の自慢するアベノミクスは金融緩和効果を勘違いしているだけだ。円安になったところで製造業の主だった企業が生産拠点を海外展開しているため、日本からの輸出品は少なく、従って円安を享受する企業が多少はあっても、それ以上に食糧や原油などのように国内で生産を代替できない基礎素材の輸入原価の高騰に繋がり、悪性インフレの芽を育てていることに気付くべきだ。
 そうしたインフレを「デフレ脱却だ」とはしゃぐ安倍氏の精神構造には驚かざるを得ない。経済成長なきインフレを悪性インフレと呼ぶ。今年の四月になれば景気後退下のインフレ・スタグフレーションが起こるのは経済原理で明確に説明できる。そうした最悪の状況が刻一刻と近づいているのに、自民党大会で喜色満面にアベノミクスは順調だ、と碌に経済分析すらできない御花畑脳には寒気すら覚える。この政権にマトモな経済アナリストはいるのだろうか。


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