日本の新築価格は正常か。

 昨日、近所を散歩していたら建前をしていた。一部総二階の延べ床面積40坪前後と思われる瀟洒な家のようだった。クレーン車が敷地に入り、道路に止めた大型トラックに満載されたパーツを吊り上げては基礎の上に手際良く建ち上げて行く。
 米国流のなんととかいう宣伝文句のプレハブのようだが、軽々と吊り上げられた部材を見ると厚めのコンパネに胴ブチを打ちつけた壁様のブロックを組み合わせ、大型ホッチキスのような器具で釘をコンプレッサーの空気圧で打ち込み固定している。あたかも芝居の大道具だも組み立てるような手軽さで見る見る家が形作られていった。

 クレーンで吊上げられる部材には断熱材も内壁も何もなかったので、おそらく組み立てた後に内側のコンパネを張り内側にウレタン樹脂のような注入すれば数十倍に膨張し気泡の巣になる素材をコンプレッサーで注入するのだろう。そして外側には木造用へーベルを張り、内壁にはクロスを張って出来上がりといった段取りになるのだろう。
 それならいかに高価な施設を家に備えつけようと原価は総額で1000万円を超えることはないはずだ。しかし消費者が買っている金額はその二倍半から三倍、酷い時には4倍以上の金額で建築契約を結んでいるようだ。だがプレハブ住宅の酷さは昨日見かけた住宅メーカーだけの話ではないようだ。

 ある住宅メーカーは軽量鉄骨を骨組みにして合板を張り付けて「家」だと称しているし、ある住宅メーカーはコンパネを張り合わせた板を接着剤で張り合わせて「家」だと称している。そのいずれもが坪単価当たり60万円から80万円もの価格を顧客に提示しているというから驚きだ。
 普通の設備を嵌め込んだとしたら金の便座でも設置しない限り、建築総額が普通の家の建て坪30から40坪で原価が2000万円を超えるのは異常だというしかない。そういえば今度周南市で徳山駅ビルを建て替える総予算が95億円と聞いて目が飛び出た。坪単価換算で150万円だという。都内の高級マンションでも坪単価150万円の建築費はあり得ない。占有面積が30坪ならそれだけで4500万円となり、土地代や共有スペースの建築費やマンション業者の広告宣伝費や利益を考慮すると販売価格は一憶数千万円となるだろう。しかしマンションならシステムキッチンやユニットバスや高級玄関ドアなどから配管や間仕切りと駅ビルとは比較にならないほど原価が嵩む。すると公共事業費がいかにデタラメかお分かりだろう。

 この国の住宅建設費は常軌を逸している。国民は異常なほど吊り上げられた高額な住宅を買わされている。確かに契約は「売った、買った」によって合法的に成立するが、消費者に適正情報を与えないで売買させるのが合法的な取引といえるだろうか。
 この国のマスメディアは腐りきっている。消費者の利益を擁護しても一銭の得にもならないが、住宅メーカーの原価構造に触れなければ莫大な広告宣伝費を手に出来る。そうした理屈の上に原発報道や公共事業の談合疑惑報道も絡まっていると考えるしかない状況が続いている。だいたい平均落札率が95%を超えている地方自治体や中央官庁で入札談合疑惑を追及する声が寂として出て来ないのはマスメディアもその一員に加わっている証拠ではないだろうか。

 消費者庁という官庁があるが、どうやらそれは「原子力規制委員会」と同じ「羊頭狗肉」官庁の一つのようだ。
 昨日の朝の散歩が奇しくも嫌な散歩になった謂れを、ここに書き記してみた。


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