なぜ「脱原発」なのか

 自公は都知事選に細川護煕氏が「脱原発」で立候補することにより脱原発を突如唱えだした小泉純一郎氏や先の衆・参議院選挙から「脱原発」連合政党を立ち上げた小沢一郎氏たちが連携するのではないかと脅威に思っているようだ。
 それなら前回と同様に自公も「脱原発」を自公推薦の都知事候補者に言わせれば良いだろう。山口県知事選でも飯田氏が「脱原発」を掲げたのに対抗して山本氏に「脱原発」を公約させ、当選するや凍結していた上関原発新設を解凍するかのような姿勢に転じていた。ただ不幸なことに当選した山本知事は健康を理由に辞任を申し出て県知事の職を辞した。

 そもそも自民党政権の中曽根首相当時に原発を日本で始めた理由のセールストークが「廉価」て「安全」な発電装置だということだった。しかし「廉価」な発電原価というのは大嘘だったと暴かれている。
 あらゆる製造産業で原価計算を行う場合は会計原則に基づき期間損益を恣意的に操作してはならないことになっている。しかし電力各社は経産省のお墨付きで「総括原価主義」という摩訶不思議な原価計算方法を採用していた。

 総括原価方式とは「発電している時点での原価」を計算するものだという。それならダム建設に莫大な費用が掛かろうとまったく発電原価に算入されないことになる。
 同様に原子力発電施設の建設や、原子炉の耐用年数が経過して廃炉にする際の経費は全く原価計算に反映されていないことになる。そうした普通の製造業とは異なる原価計算方式を採用して計算した発電コストを比較して「原発は廉価な電気を発電する装置だ」という説明は電力会社と経産省との間だけで成り立っている符牒のようなものだ。

 土俵を恣意的に変えて議論する愚行を官僚たちは平気で犯して国民を騙す。たとえばカロリーベースで弾いた自給率を使って国民に食糧自給率を説明しているのは世界でも日本と韓国だけだ。
 カロリーベースで計算すれば自給できている牛乳や野菜などは無視できるほど小さくなる。その代りカロリーの大きな穀物や豆類などが食糧の中で大きな比重を占めることになる。ほとんど100%小麦を日本が輸入している限り、消費する穀類の半数をコメと小麦が分け合っている現状に変化がない限り日本の食料自給率は永遠に50%を超えることはない。これが農水省が国民についている嘘の本質だ。

 世界標準の食料自給率の算定方式は消費金額ベースになっている。その方式で計算すると日本の食料自給率は67%ほどとなり、英国の64%を抜いてそれほど深刻でないことが明らかとなる。
 原発の怖さは放射能だけではない。子孫に莫大な経費負担を負わせることだ。日本はいまだに放射能汚染廃棄物の最終処分場がない。しかし処分場があったところで、放射能が害を及ぼさなくなる10万年後までどのようにして処分場を維持・管理できるというのだろうか。

 たかだか千数百年前の「古文」を日本は高校で習得する教科の一つとして学ばなければ読めなくなっている。万年以後の世界で人類の子孫が現代の言語で書いた処分場の取説を解読できるだろうか。
 好奇心に満ちた未来の人類のヤンチャが処分場の扉を開きガラス固定化した放射性廃棄物を溶解して取り出さないとも限らない。そうした害毒を未来に持ち込む可能性と同時に、維持・管理する費用を現代を生きる人類が支払うわけでなく、未来にツケを先送りすることも深く認識すべきだ。それでも電気をふんだんに使うために原発再稼働すべきだ、と叫ぶ人たちは果たしてマトモな常識と良識の持ち主だといえるのだろうか。


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