公取が海運大手に課徴金220億円を課すという。

 公正取引委員会は自動車輸出の海運大手4社が価格カルテルを結んでいたとして課徴金220億円を課す方針を決めたという。これが決まれば価格カルテルに対する最大の課徴金となるようだ。
 いうまでもなく、公取が課す課徴金とは適正な競争原理を廃して競合企業が話し合いにより価格協定を結び利用者に不利益を及ぼしている状況を是正するためのものだ。しかし世の中には不当価格と思われるものがあるいは独占企業により、あるいは政治的に定められているものが数多ある。

 たとえば国会審議により認定されるNHKの視聴料や国会で承認を得る高速料金など、世界の標準的な料金と比較して余りに高額というしかない。それでも職員給与などがこの国の勤労者平均給与を下回っているのなら仕方ないと納得するが、そうではなく社員の平均年収が1000万円を超え、余りに世間一般の常識からかけ離れた高額年収を手にしている。
 なぜ国会議員はNHKなどの経営審議の中で社員の平均年収を問題にしないのだろうか。公正取引委員会は不当利益を得ていると認定しないのだろうか。公取は民間企業の価格カルテル談合に対しては敏感な反応を示すが、行政が定める各種証明書の不当に高額な手数料などに対して沈黙を貫くのだろうか。戸籍謄本や住民票などを住民が取るのは当然の権利のはずだが、それに対してコピーするだけかプリントアウトするだけの業務が一枚当たり400円とか700円も手数料を徴収するのは公正な国民の権利を侵害していないだろうか。

 高速道路料金の価格設定も世界と比較すれば異常に高額だ。むしろ世界的では高速道路無料が常識だ。米国のフリー・ウェイしかりドイツのアウト・バーン然りだ。そしてアルプスの下をトンネルで貫きフランスとイタリアを結ぶモンブラントンネルの高速道路の料金ですら2000円程度でしかない。
 この国の高額な公共料金や独占企業の高額な料金設定に対して、本来は国民から選ばれた議員が目を光らせるべきだが、彼らは官僚によって骨抜きにされて官僚に対する番犬として役立たずになっている。むしろ官僚の下請け機関となり消費増税を決議する国会議員は「財政規律を考える良い議員だ」といった間違った風潮すらある。歳出削減努力なき大全秘蔵の予算を組み続ける官僚たちは単に野放図な浪費家たちに過ぎないと、その正体を看破すべきだ。

 なぜこの国の議員たちの報酬は世界と比較して高額なのだろうか。そうした問いを投げかけると「秘書たちの人件費や後援会事務所などの維持で費用が嵩む」との反論がオウム返しのように帰って来るが、カネがあるから秘書を雇い事務所を選挙区内に何か所も設置するのだ。カネがなければ私設秘書は雇えないだろうし、選挙区内に何ヶ所も後援会事務所を設置できないだろう。米国の国会議員が年間2000万円程度の手当しかもらっていないのに対して、日本の国会議員の一人当たり総支給額1億円は余りに多額ではないだろうか。
 人口減社会に陥った日本がいつかは成長の限界点を見極めて、すべての公的機関の予算をダウンサイジングする必要があるのは論を俟たない。その段階に差し掛かっているという認識もなく、マスメディアは都知事候補の細川氏が「経済成長万能主義から脱皮すべきだ、」との至極当然な発言をしているにも拘らず「殿ご乱心」と茶化している。マスメディアの連中こそ「ご乱心のアベノミクス狂喜乱舞」に陥っているのに、自らの姿は見えないようだ。
 公取は一体何のために存在しているのか。民間企業へのお目付け役もさることながら、公的機関を独占企業とみなして経済原理を適用する第三者機関として国民の側に立ってはどうだろうか。


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