野放図な官僚支配を許す「特定秘密保護法」の制定を危ぶむ。

 官僚が指定し政治家がそれに従えば「特定秘密」として何でも秘密として向こう60年間は秘匿できるという暗黒法は制定すべきではない。戦争大好きな米国ですら日本が制定しようとしている特定秘密保護法は余りに酷いと批判している。
 何が酷いかというと、米国の政府筋は米国の法で秘匿するのは外交関係の情報に限定されているという。しかし日本の特定秘密法は秘匿情報の範囲を定めないだけでなく、その中身のチェック機関すら「法を制定させてから検討しよう」というのだ。これほどのザル法をなぜ強行して今会期内に制定しようとするのだろうか。

 安倍首相は一体何を恐れているのだろうか。官僚たちの政権からの離反を恐れているのだろうか。前回の場合、安倍首相が一年足らずで退陣せざるを得なかったのは直前の参議院選挙で大敗したこともさることながら、官僚たちの政権からの離反にあったといわれている。
 その結果として盟友の財務大臣がローマで朦朧記者会見を行い、安倍政権の権威を決定的に失墜させた。そうしたシナリオを誰が描いて誰が財務大臣との昼食時に何らかの薬を盛って朦朧とさせたのか。ちなみに故中川昭一氏は酒好きだったが酒豪で知られ、イタリアワインの一本や二本を空にしたところで意識朦朧として舌が縺れることはなかったという。だから誰かが薬を盛ったと指摘するのだ。

 一次安倍政権と今回の二次安倍政権との明確な相違は官僚とのスタンスにある。前回は官僚改革に執念を燃やしていたが、今回は官僚におもね、官僚の利権拡大に寄与している。
 官僚たちの減給措置もたった二年限りの措置法通りに廃止するし、官僚権力を強力に補強する特定秘密保護法の制定にはなりふり構わず前のめりだ。その様は長期政権運営のためなら魂も官僚たちに投げ出すという常軌を失したものだ。

 前回は「戦後レジューム」からの脱却と、明快に政権運営の意思を表明していたが、今回は「戦後レジューム」からの脱却とは一言一句たりとも言及していない。一次と二次とでは安倍政権は別物になっている。
 国民の生活が第一という政治家の理念よりも、安保改定に命を賭けた祖父・岸信介氏の政治理念に近いものを感じる。岸氏が首相を勤めていた当時は冷戦の真っ只中にあって、安保改定より他の選択肢はなかった。しかし現在は状況が異なる。

 たとえば米国は朝鮮半島から米軍を撤退させることになっている。韓国の要請により延長したとはいえ、半島の軍事統帥権を韓国に譲渡する予定に変更はない。
 軌を同じくして中国傀儡政権に過ぎない、中国朝鮮族の金軍事独裁政権も中国と好を通じていたナンバーツウが失脚した。北朝鮮も中国からの独立を目指しているようだ。核を手にした北朝鮮は以前の中国の属国だった頃の北朝鮮とは違うと、違いを中国に見せつけているかのようだ。

 韓国も世界各地で朴大統領が日本の悪口を触れ回り、日韓関係を決定的に壊してしまった。もはや昔日のような友好関係を日韓両国が結ぶことは不可能だ。そうした責任はすべて韓国政府にあるが、一方でこうした事態を招いた一端の責任は安倍政権にもある。頑なな朴大統領に付き合って頑なな態度を貫いたのは紛れもなく安倍氏の責任だ。
 それならなぜ「村山談話」や「河野談話」を見直さなかったのだろうか。安倍氏は禍根を断つというのなら、韓国と状況が悪化しようが筋を貫くというのなら、なぜ靖国参拝を躊躇したのだろうか。何とも中途半端な態度で禍根を次の世代に引き継ぐだけでなく、戦略的な意図もなく両国関係をただ壊しただけとしか見られない。

 そして野放図な特定秘密保護法の性急な制定だ。彼は何を国民から秘匿しようとしているのだろうか。彼は官僚たちによって何を強いられているのだろうか。
 せっかく小沢一郎氏により廃止した「事務次官会議」を復活させ、官僚たちの下請け機関に再び成り下がった閣僚会議で何を決めようとしているのだろうか。すでに安倍氏は政治家としての理念も何もなく、ただ長期政権運営だけを目的として突き進んでいるようにしか見えない。


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