政治のプロではなかったと、

 猪瀬氏の辞任の記者会見で飛び出た言葉だ。「私は政治のプロではなかった」から不用意にも医療法人「徳州会」から5000万円を都知事選挙直前に現職の都副知事が名目は何であれ頂戴したというのはプロかアマかの問題ではないだろう。職務権限からいえば「李下に冠を正さず」という姿勢が求められるのはいうまでもなく、猪瀬氏の都議会総務委員会での弁明を聞いていると政治のプロか否かの以前に、都職員の職務規定に反していないかどうかの問題でしかない。
 その上で猪瀬氏が徳州会からの何らかの要望に耳を傾けていたとしたら「贈収賄」という刑事責任を問われる事件を形成することになるのはいうまでもない。

 5年も副知事を勤めていた男が「政治のプロではなかった」とは何たる言い草だろうか。政治のプロならもっと上手に問題にならないように処置したというのだとしたら、政治のプロを以て任じるこの国の政治家すべてを愚弄する話ではないだろうか。
 そもそも猪瀬氏の政治的手腕を私は一貫して評価していなかった。彼が成し遂げたと主張する「道路公団民営化」は単なる道路公団の分割と看板の付け替えに過ぎなかった。その結果として、民営化した高速道路会社は利益を追求して維持・管理がおざなりになり笹子トンネル天井板崩落事故を引き起こす原因を作ってしまった。

 高速道路などという経営に競争原理の働かない事業を民営化して一体どんな意味があるというのだろうか。民営化により却って道路公団当時よりも役員数は総数として増加し、直接的な国会審議の対象から外されてしまった。つまり体よく官僚の天下り先の利権肥大化に猪瀬氏と大宅道子氏は加担したことになってしまった、という反省を彼らはすべきだ。
 官僚による官僚のための行政改革に猪瀬氏は手を貸し、当時の国交大臣が石原伸晃氏だったことからその功績により父親の石原慎太郎に拾われて都副知事となったに過ぎない。恵京オリンピック召致という石原慎太郎前知事のお荷物を実現したことから猪瀬氏は鼻高々の有頂天だっただろうが、東京オリンピックが国民全体にとってどれほどの効果をもたらすというのだろうか。地に足を付けた行政こそ、現在日本には求められているはずだ。お祭り騒ぎで重税を誤魔化すのはもうたくさんだ。

 しかし猪瀬氏の後任に誰がなろうと、都は東京オリンピックへ向けて公共事業のオンパレードを繰り広げるしかないだろう。かの高島平団地ですら限界集落になろうとしている現実に目を向けることなく、カジノ構想などと能天気な博奕にウツツを抜かすのだろうか。一体いつから日本国民は勤勉なDNAを喪失したのだろうか。前回の都知事選挙で猪瀬氏程度の人物が434万票もとったというのが、都民劣化の何よりもの証拠ではないだろうか。


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