テレビがリニア新幹線の経済効果が10兆円と煽っているが、それほどの経済効果があるとは思えない。

 テレビに明治大学の教授と称する人物が登場して「一時間で東京と大阪が繋がれば東海道が線から一体的になる」などと空想空間の話を展開していた。どういう根拠に基づく「三都市一体化」理論なのだろうか。
 確かにリニア新幹線が開通すれば東京と大阪は一時間が行けるかもしれない。しかし、それで何が変わるというのだろうか。新幹線の開通によりかつての東海道は三時間と半分の所要時間で繋がったが、それでいかほどの経済効果が出現したというのだろうか。

 新幹線や高速道路の延伸によりあらゆる業界で東京への一極集中は進んだが、それに反比例して地方都市は寂れにさびれた。いわゆる日帰り圏が遠くまで及び、地方都市の支店や出張所が次々と廃止になった。それにより駅前繁華街を支えていたいわゆる「支店経済」が消滅した。
 リニア新幹線の輸送力がどれほどのものなのか、明治大学の教授は御存知だろうか。同時に超伝導を実現・維持するためにどれほど巨大な電力が必要とされるかも御存知だろうか。すると採算に見合う乗車料金がいかほどになるのか、少なくとも新幹線の倍以上にしなければ見合わないだろうし、地役権の及ばない最深地下を利用するとしても莫大な建設費(現在予定されている建設費の倍以上になるのは過去実施されてきた公共事業から推定される)の投下資金を回収するためには新幹線の三倍以上の料金を設定しなければならないだろう。

 航空機を利用する料金と新幹線料金がほぼ同額だから、リニア新幹線が常に満席となるかは疑問だ。それほど短縮時間対リニア料金に見合う仕事とは一体何だろうか。
 貨物輸送のない人を運ぶだけの鉄道という意味では新幹線と真正面から競合する。人口減社会で高速輸送旅客列車の需要がどれほどあるというのだろうか。青年が夢を語るのは微笑ましいが、大学教授や評論家がお伽噺を煽るのは「御用」の匂いがしてたまらない。

 それにしてもテレビに登場するリニア関係のコメンテータの誰一人としてリニア新幹線の危険性を指摘しないのはなぜだろうか。超伝導が何らかの理由で磁界が崩壊して超伝導が喪失した瞬間に電動コイルに莫大な瞬間電流が流れて発熱する危険性がある。実際に実験線で一度試験車が全焼したことがあった。当時は無人の遠隔操作だったから犠牲者は出なかったが、実用線の営業運転では人が乗り込む。
 軽くする必要から車両はジュラルミンかアルミ製となる。当然、良く燃える。バカなリニア新幹線で浮かれるよりも、東海道新幹線の全線更新を真剣に議論すべきだ。山陽新幹線もやがて耐用年数を経過する。高速道路も更新しなければならない時期を一部では経過し、他も続々と更新時期を迎える。利用者の安全を至上命題とするなら、国はリニアを目指すより現在の社会インフラの維持・管理・更新にこそ力を注ぐべきだ。


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