東電はすでに破綻しているのに、破綻処理しない(首相答弁)というのはモラルハザードだ。

  実質的に東電はすでに債務超過となり破綻しているのに、破綻処理しない(首相答弁)というのはモラルハザードではないだろうか。それなら国が東電に今後どれだけ肩代わりして税で支払い、今後東電が負担すべき総額とその財源たる電気料金として利用者負担総額を明示すべきだ。
 そうした民間企業として自力再建の道筋の全体像を示した上で、首相は「破綻処理しない」と発言すべきだ。さもなければ特定の民間企業に国が公金を支出するモラルが問われるだろうし、社会インフラを担っていればどんな壊滅的な事故を起こしても企業責任は問われないというのでは社会的なモラルも維持できないだろう。

 そうした兆候は見られる。全国JR各社の弛みきった現場の惨状はどうだろうか。自己正当化のために緊急ブレーキ装置を壊した職員や、レール幅の切り替えを引き継ぎしていなかった会社組織と、その後の運営でレール幅が広がっていても危機感を以て対処する現場職員がいなかったという根本的な「安全運行」をどこかへやったJRの企業としてのモラルハザードを指摘しないマスメディアも、生存権に関わる食料品等の消費増税は批判しないが、新聞・書籍には軽減税率を適用すべきだとの広告を掲載するジコチュウー振りにもマスメディアのモラルハザードが現れてはいないだろうか。

 国会答弁を聞いていて皮相な首相の答弁はまさしく「言辞を弄す」と表現すべきものでしかなかった。しかし民主党もなぜ「野合三党合意」により安易な消費増税路線を採ったことを国民に真摯に詫びなかったのだろうか。
 この国は既に人口減社会に突入している。二十数万人もの人口が年間に減少しているが、労働生産人口という面で見れば既に百万人単位で減少している超人口減社会に突入していることを忘れてはならない。能天気に法人減税を国民課税で賄うほど国民労働生産性が伸びているわけではない。いわば課税財源としての国民所得は枯渇しつつあるのに、消費増税することがどれほど個人消費を直撃するか、来年四月以後の消費動向を見て政府はアタフタするだろう。そのと間になって消費増税に賛辞を送っている御用学者や幇間評論家たちも頬被りして素知らぬ顔をしても、決して許さずに批判するつもりだ。

 それにしても首相の「全体としてコントロールされている」発言そのものをマスメディアが批判しないのはなぜだろうか。放射能は「全体としてコントロール」されているから一部は漏洩しても問題ない、というものではない。
 鉄道は全体として軌道幅が保たれているからJR北海道も問題ない、というのと同じくらい重大なモラルハザード発言だと自覚しない首相の常識とは一体どのようなものなのか疑いを抱かざるを得ない。要要、司司の部署にあるこの国の責任者たちのモラルが崩壊していてはこの国全体のモラルも崩壊しているといわざるを得ないだろう。

 安倍首相は義務教育する教員たちを問題視しているが、首相本人の見識と発言をもっと厳しく律すべきではないだろうか。首相がこの国の最高権力者だとしたら、何代にも亘ってモラルを欠く人物が首相の座についていたこの国のモラルがハザードを起こしてもおかしくないと思うのは私だけではないだろう。
 泥鰌は金魚になれない、と嘯きつつ自民党になろうとした民主党首相には根本的なモラルハザードを見る。自分たちは「報道の自由という安全地帯」に身を置いて、小沢氏を人権無視の「政治とカネ」プロパガンダで攻撃したマスメディアのモラルハザードも批判しなければならない。

 この国は根源的なモラルハザードに陥っている。SPEEDI情報を隠して官僚たちも深刻なモラルハザードを起こしているし、財政破綻を訴えつつ官僚たちが勤労者平均年収を上回る年俸を手にして平然としている様にも腹立たしてモラルハザードを見る。
 そして東電の会計状態を見ても「破綻しているではないか」と声を上げない会計学者たちも、「裸の王様」を見ても素晴らしい御召物ですね、と賛辞を贈る厚顔無恥な人たちとどこが異なるというのだろうか。彼らの沈黙にもモラルハザードを感じざるを得ない。


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