「景気」は気のものというけれど、

 アベノミクスといい五輪効果といい経済効果の実態は不明だ。実際に異次元金融緩和により国内市中に通貨がだぶついている感は全くない。その代わり米国へ円が大量に向かっているという。

 10月の18日にも米国政府は財政の壁に直面するという。米国債上限規定の再引き上げが喫緊の課題だが、引き上げた米国債を購入する原資に日本の円が使われるという。



 国内景気に関して金融緩和に過ぎない日銀の異次元緩和が直接役立つわけではない。緩和された通貨が国内を巡って投資や消費に使われて景気を良くするのだ。

 個人消費が上向いている、という指標は来年四月消費増税効果に過ぎない。たとえば各プレハブメーカーは10月着工のゴールを目指して消化しきれないほどの契約件数を抱えているという。まさしくウハウハ状態なのだが、その反動は相当厳しく業界を直撃すると思わなければならない。



 ただプレハブメーカーからは銀行の住宅ローンの審査が厳しく、約50%が審査を通らないという。正社員でも勤続年数や会社業績などでかなり厳しく査定されているようだ。

 それなら派遣や非正規社員はさらに厳しいということだ。政府は若者が自動車や家を買わなくなったと嘆いているが、むしろ買えなくなったというべきではないだろうか。どうように結婚を考えない若者が増えているという現象も、実は結婚したくても安定的な家庭を築く職が持てないのが大きな原因かもしれない。



 景気上昇に五輪効果を期待するのもアベノミクスと同様に実態不明な気分だけだ。五輪に向かって政府支出される大部分は道路や箱モノの公共事業だが、既に安倍政権の大盤振る舞いにより業界は腹一杯で消化不良を起こしている。

 建設資材は奪い合いでナマコン業者もバラセメントを米国などから緊急輸入している。かつて1964年東京オリンピック当時のように拡大した公共事業に対応するため「海砂」を大量に使い、その後の高架橋や橋などの異常な劣化を招いが、同じ過ちを繰り返さないように品質管理は重要だ。



 いずれにせよ、アベノミクスも五輪効果も経済効果は実態不明だ。ただマスメディアの連日連夜に渡る五輪報道による気分の高揚をもたらしているのは確かだが、その日暮らしの非正規職に携わっている人たちの間には「それがどうした」という気分があるのも確かだ。政府は五輪に狂喜乱舞するよりも国内雇用改善に全力を上げろよ、という醒めた意見も多く耳にする。

 アベノミクスは金融効果に留まり、五輪招致決定は東京の公共事業限定効果に留まっている。それらは決して国民多数に経済効果をもたらすものではない。経済成長のエンジン点火の実態なき高揚感を景気改善と勘違いして、消費増税をすればいかなる事態になるか、橋本竜太郎内閣当時の失政に学ばない政治家たちを愚かと呼ばなければならないことになるのだろうか。


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