シリア制裁停止に見る米国の国力低下。

 オバマ大統領はシリア制裁限定攻撃を強く推していた。しかし議会の意向がなかなか定まらず、その間に国民から「米国はいつまで世界の警察でいるのか」という不満が噴出してきた。ついに議会から限定爆撃の同意が出ないまま、オバマ氏は追い詰められロシアの提案した「化学兵器の引き渡し」という妥協案に応じるしかなかった。

 それはそれで良いことだったと思う。平和のための戦争など願い下げで、ましてや正義のための戦争などというものは存在しない。正義とは勝者の側にのみ存在するのであって、戦争そのものを客観的に批判することは愚かなことだ。シリアで大量無差別殺戮の化学兵器使用は人道的な取り決めに反する。



 シリアが他国を侵略して化学兵器を使用したのなら米国が警察官役を買って出ても大義が成り立つだろう。しかし今回は政府が反体制勢力に対して用いた国内問題だ。シリアのことはシリア国民が決めるのが本来的なありようだ。

 それならなぜ米国は天安門で中共政府が自由化を求める学生など1万5千人も殺害した折に、人道主義の名において中共政府高官の棲む中南海を限定爆撃しなかったのだろうか。それならなぜ北朝鮮が200万人もの餓死者を出していて素知らぬ顔をしていたのだろうか。米国の主張する正義とはかなりいい加減な自己都合的な建前に過ぎない。



 オバマ氏の主張する報復限定爆撃に日本政府は早くから「同意」した。それが同盟国の責務だというのなら、そんな同盟国は危なくて仕方ない。

 日本は日本の国益のために行動すべきだ。アラブイスラム圏を敵に回すことが日本の国益にかなうのだろうか。米国やイスラエルや欧州諸国などのキリスト圏とアラブイスラム圏との十字軍以来の怨念渦巻く争いに、仏教国の日本が参加するのは得策とは云えない。



 今回のことで良く分かったことは日本が中国から攻撃された場合に米国が直ちに中国に反撃すると期待できないということだ。安保条約の条文を見る限り、日本駐留米軍基地が攻撃されない限り、米軍は攻撃国に対して単独で軍事行動を起こせないことになっている。

 日米安保に従って米軍が軍事行動を起こす場合には議会の同意が必要とされている。その議会が伝統的なイスラム圏との戦争、それも極めて限定的な攻撃ですら同意しなかったということを軽視してはならない。集団的自衛権などという禅問答に等しい議論にかまけている暇があれば具体的な軍事力の増強を図るべきだ。とくに海上と空軍の増強は強大化する中国の脅威に対して必要に迫られている。日本は何よりも守りの艦隊を整備すべきだ。


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