8%への消費増税はアベノミクスと整合する政策なのか。
消費増税ありきの有識者からの意見聴取だったりとか、国民を愚弄するにも程がある。今度は住民税非課税者に1万円還付するという。それも1.5年分の食糧費支出18万円の補填として一度だけ還付するというのだ。
住民税非課税者とはどんな所得金額で、実際にどんな暮らしを送っている人たちなのか知りたいところだ。マトモに派遣にしろパートにしろバイトにしろ、精出していればなにがしかの住民税を支払っているはずだ。すると彼ら・彼女らには1万円の還付金すらもらえないことになる。
しかも1万円の還付金を支払うための労力を計算してみると良い。その事務負担がどれほどのもので、貧困層の消費増税負担の緩和に役立つのか。偉い人たちはどのような理屈からそうした金額を弾いたのだろうか。
それよりも公務員給与を民間勤労者並みにするだけで消費増税3%分は出るのではないだろうか。もちろん政治家の報酬や各種手当も半分に削減すべきなのはいうまでもない。
しかし日本の財政は逼塞しているとはとても見えないがどうだろうか。福一原発の汚染水対策を政府がやると決めれば直ちに対策費が出るし、2020東京オリンピックが決まれば公共事業費が何処からかポロリと出てくる。
それでこの国がデフォルト寸前なのかというとそうでもない。公務員は微々たる報酬削減で誤魔化して勤労者平均年収よりも遥かに多くの年俸を手にしている。給与が遅配するような破産寸前の状況では決してない。しかも勤労者平均年収に近い共済年金を公務員OBは死ぬまで手にすることになっている。こんな公務員天国を支えるために、国民が消費増税に喘がなくてはならないのだろうか。
税収を増やすためには景気を良くし堅実な経済成長することが一番だ。かつて70兆円を超えていた税収が40兆円まで落ち込んでいるのは景気が悪いからに他ならない。
税収が落ちたからといって消費増税するのは金の卵を産むガチョウを殺すのに等しい。安倍氏はアベノミクスで景気を良くすると叫んでいたが、アベノミクスで実施された政策は日銀の「異次元金融緩和」だけだ。
景気対策であると同時に経済成長対策である企業の投資減税はこれから検討されるという。余りに遅すぎる。安倍政権の経済政策のトンチンカンぶりには驚くばかりだ。
それでも2020オリンピック東京で経済効果が150兆円だ、と幇間評論家がテレビに登場して煽りたてる様には「コイツ正気か」と思わずテレビに向かって叫ばざるを得ない。公共事業も含めて「経済効果」にカウントするとは、彼はいったい何者なのだろうか。
2020東京オリンピック決定は御目出度いが、それで直ちに国民生活が劇的に変わるわけではない。熱病に浮かれているようなテレビ番組にはウンザリだ。彼らは高額ギャラで豊かな生活を送っているかもしれないが、国民の多くは非正規労働に従事して公務員の1/3以下の年収に甘んじ、国民年金生活者は共済年金の1/4以下の年金生活で爪に火を点している。そうした実態を冷静に見詰めるのが政治家の使命だ。なにも2020オリンピック東京招致を決めてキメ顔でテレビ出演するのが政治家の役目ではあるまい。