「国債残高を次世代に残さない」ために「消費増税」に賛成」は誤りだ。

  有識者から「消費増税」に関する官邸でのヒヤリングで福一原発放射能汚染地域の首長が「国債残高を次世代に先送りしないために」消費増税に賛成だ、という論旨を主張したのには驚いた。


 地方自治体の首長が、しかも放射能汚染地の首長が「消費増税」に関して財務省の立場から主張している事実に驚愕した。彼は国に対して本来地域住民の意見を代弁する立場にあるというのに、国の立場に慮って地域住民の代表者という立場を失念しているのだ。


 


 そもそも「消費増税」で赤字国債発行をしなくて済むプライマリーバランスを取るとしたら今年度の赤字発行国債26兆円に相当する増額をしなければならなくなる。そうすると3%の消費増税でおおむね8兆円の増収という試算だからその3倍、つまり9%増税しなければならないことになり、現行の5%と併せて14%にしなければならないことになる。


 それは14%に消費税を増税しても景気が後退しないという前提での話だ。お断りするまでもなく、日本の消費税はすべての品目に対する一律課税のため、世界に類例を見ない極めて高率な消費税ということになる。


 


 欧州諸国の消費税は食糧品や医療費や教育費などに対して非課税か、もしくは課税しているとしても極めて低率な税率しか課していない。それは貧困層に対する配慮からだ。


 しかし日本はそうした配慮のない、極めて乱暴な消費税になっている。生活するコストの高い社会構造を更に生活する基礎的コストを高めるだけの税体系にすることにしかならない。それに地方の首長が主張してどうなるのだろうか、彼は近未来に日本の消費税が14%を超えるのを容認していることになる。


 


 公的負担という概念がある。日本は39%程度でおおむね44%前後に達している欧州諸国に比して低率だという議論がある。しかし公的負担から公的機関の国民への支出による公的支出を差し引いた「純公的負担割合」を比較すると、日本は17%となり欧州諸国が14から15%なのと比して高いことが分かる。


 つまり公的負担割合だけで比較してはならない。スウェーデンの公的負担が高いのは周知の事実だが、それでも国民が満足しているのは手厚い福祉などで公的支出が社会セイフティネットで国民生活を支えているからだ。日本国民が将来に不安を覚えるのは、この国の社会保障が不完全だからだ。その端的なモノが暮らせない国民年金だ。


 


 税により1000兆円に達した国債残高を償還するのは不可能だ。そのことをまずすべての政治家が認識すべきだ。そうすれば「赤字国債の償還のために」増税すべきという財務省の「錦の御旗」が真っ赤な大嘘だと解るだろう。


 それでは何を財源として償還するのか。経済成長に基づく成長率以内のインフレにより償還するしかない。経済成長すればもちろん景気も良いわけだから税収は自然増となるし、インフレ2%なら20兆円償還したのと同じことになる。国債の単純税償還議論ではこの国の経済を破壊しかねない。経済成長こそがすべてのカギであることを認識すべきだ。


 そのためにも「消費増税」を実施してはならない。決して景気の足を引っ張ってはならないし、GDPの半分を占める個人消費を冷やしてはならない。二重の意味で「消費増税」は悪手だと看破すべきだ。



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