政府はUターンIターン投資減税を行って、製造業立国を「取り戻せ」。
加工貿易が明治以来の日本立国の礎だった。それが米国に「集中豪雨的な輸出は怪しからぬ」とプラザで怒られると、たちまち「内需拡大こそが日本の立国原理だ」とワケの解らないことを叫び始めた。
プラザ合意を米国政府に無理強いされた当時の日本のGDPに占める割合は14ないし15%だった。現在も14%と大して変わらない数字を示しているのは日本経済の堅調さを裏付けている。
しかし1985年9月22日にプラザ会議に集まった米・英・仏・西独・日の財相は米ドルの切り下げと日本円の切り上げを竹下蔵相に迫り、竹下蔵相もそれを呑んだ。それによりプラザ合意時に1ドル240円だったものが、その年末には200円となり、翌年2月には180円と、異常な高騰に見舞われた。
しかし中国が対GDP比36%もの対外需要依存経済で莫大な輸出を行おうと、欧米諸国は中国に「いい加減にしろよ」と文句を言わなかった。韓国に到っては対GDP比50%を超える貿易依存経済であっても、欧米諸国は無視してきた。
欧米諸国はダブルスタンダードだ。日本に対しては厳しく当たるが、自分たちの国の企業投資による集中豪雨的輸出に対しては驚くほど寛容だ。自国民の職を奪い、失業者が街にあふれようと、自国の投資家や企業経営者が利を手にするのなら文句を言わない。
日本政府もそうした功利的な欧米諸国の仲間入りをするのだろうか。いや、日本国民は誇り高く公平・公正を求める国民であり続けなければならない。99%の人たちが困窮しようと、1%の政府のスポンサーたちが莫大な利益を手にするのなら是とするのは社会正義に照らして正しいとはいえない。
焼畑式経営で中国の安い労働力を使えば利益が上がる、という経営ならバカにでも出来る。中国の労賃が高騰して経済的に駄目になったらタイやベトナムがあるさ、というのならまさしく「焼畑式経営」だ。そうした経営から脱却して、日本国民に英知と高質な労働力を結集した経営を行うべきだ。
そのために投資減税を行い、新規生産設備の更新を促し、製造業を中心としたモノ造り社会の再構築を行うべきだ。荒れ果てたモノ造りの再構築こそ、日本の未来を切り拓くものだ。