候補者は政治理念を語るべきだ。

  わけの分からない言葉の羅列や、因果関係の判然としない事象を我が手柄と誇ったり、数字として上がっていない経済を「良くなった」と語るのは政治家ではなく講釈師や占い師の類いだ。政治家であれば政治理念を語り、政策を語るべきだ。


 元首相の菅氏が民主党候補の応援のためか、ネットで落選運動を展開しているという。政治理念を語らない政治家が首相だったとは驚くばかりだ。尤も、彼に語るべき「民社党の政治家」としての理念はないだろう。なぜなら彼こそは首相に就任するや突如として「消費税を10%にする」と宣言した民主党の2009マニフェスト破りの張本人だからだ。


 


 明後日に投開票が迫っている参議院選挙の最大の争点は「新自由主義」か「修正資本主義」かだ。


 日本は明治より民主主義を選択してきたが同時に野放図な資本主義の弊害を取り除くために様々な規制を設けてきた。その規制こそが修正資本主義で、野放図な自由主義による弊害の最たるものの「格差」を「富の再配分」により修正する仕組みを法律により施行してきた。


 しかし小泉政権の誕生により「構造改革」と称する新自由主義が台頭し、恰もすべての規制が悪であるかのように宣伝して、野放図な資本主義へ先祖帰りさせようとしている。


 


 その弊害が最も現れている分野が労働だ。経営者に都合の悪い「派遣業規制法」をことごとく撤廃・緩和してあらゆる産業分野に「派遣業者」が社員を派遣できる途を開いた。それにより正社員は数を減じ、非正規社員が年ごとに増大し、今や40%に達しようとしている。


 たとえば輸送業法の緩和で新規バス事業参入が容易になり、確かに料金は安くなったものの高速バスによる事故が相次ぐようになった。そうした「規制撤廃」が益々進み、自己責任が増大する社会が到来するのが良いのか。


 


 安倍政権がもくろむ新自由主義の社会では混合診療も自由診療も規制撤廃により自由となり、皆保険制度が崩されるだろう。その先にあるのは米国流の医療保険事業の民営化で、貧乏人は医療保険を失い病気になっても病院に行けないのが普通になりかねない。


 農業分野でもすでにBSE検査基準が米国並みに緩和されたが、穀類や他の農産物の「遺伝子操作」表示義務も米国並みに緩和されて記載されなくなるだろう。TPP参加によるISD条項の発動の連発により、商取引の契約書や商談が英語使用とされ、「軽基準」などのような日本独自の規制は撤廃させられるだろう。


 


 グローバリス゜ムの最終段階はまさしくTPPによる「非関税障壁の撤廃」にあり、米国などのハゲ鷹投機家たちが国の敷居を気にせずに土足で踏み込むのを可能にする国際社会のありかただ。それが日本経済を活性化し国民経済を拡大させるものだとは到底思えない。


 1%の富める者が99%の困窮者の犠牲の上に成り立つ社会を日本国民は求めているのだろうか。現状の労働流動性の高まりは無能な経営者が簡単に利益を上げる途を開いたが、労働分配率を引き下げる効果しかなかった。それにより社会は少子化から脱却するのが一層困難になっている。


 


 かつて谷垣自民党総裁は民主党の掲げた「最低保障年金制度」を称して「社会主義のようだ」と発言した。まさしく「社会保障」という概念は社会主義の産物だ。野放図な「弱肉強食」の資本主義を人間らしく誰もが暮らせる社会にするために社会主義の「平等社会」の概念を導入して「修正」した結果が社会保障の導入だ。


 ここまで先人達が叡智を積み上げてきたこの国の社会制度をすべて破壊して良いわけがない。規制のすべてが悪であるかのような刷り込みは危険だ。新自由主義者たちが何を求めて何を実現しようとしているか、有権者は心眼を見開いて有権者たちに政治理念を問いかけなければならない。



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