またしても「お為ごかし」の利権創設か。
国交省が中古住宅の「合理的な流通」と称してまた一つ「資格」を創設しようとしているようだ。住宅関係では一昨年に新築住宅一棟当たり7万円の「瑕疵担保責任保険」が創設されたばかりだ。
これは新築住宅の品質が劣悪な場合、損害保険と同じ仕組みで国交省が損害補償するとするものだ。これにより新築住宅に瑕疵があった場合でも一定の基準で消費者が守られると謳っている。
しかし本来建築基準法では建築設計の検査があり、各種法令に合致して初めて「建築確認許可証」が交付され、建築現場に掲示されなければならないことになっている。
しかも建築の途中でも「建築主事」は設計図通りに建築されているか現場確認することになっているし、完成時にも完成検査することになっている。
だから建築が適正に法令通りに行われ、建築主事が設計図面片手に建築現場を何回か訪れて確認していれば問題は一切起こらないはずだ。そして完成検査をキチンと行い、法令の手続き通りに完成検査済証を交付していれば瑕疵のある新築住宅が消費者の手に渡るはずはない。
しかし現実はどうだろうか。建築確認申請を提出すると建築現地での立会調査はまず100%なく、棟上げの段階から建築完了時までに検査はおそらく10%もなく、完了検査済証の発行も新築物件の立会検査はまず行われていない。
こうした建築主事の多忙を理由にした手抜きを補完するために、新たな制度を設けて消費者に7万円から8万円の保険料を負担させている。それに政治家は無知だし、消費者はヒューザーの耐震偽装マンションでマスメディアが大騒ぎしたことから自分たちが被害者から逃れるために「瑕疵担保責任保障制度」が必要だと思いこまされた。
しかし宅建業者ヒューザーは開業時に不正を働いた場合に補償すべく「補償金」として委託金を1000万円供託しているはずだ。それはすべての宅建業者で義務付けられ、法人業者は1000万円で個人業者は200万円供託している。だから全国の宅建業者を総合計すれば全体でいかほどの無利子の金額が国庫に入っているか。
なぜヒューザーの被害者は国交省に対して宅建業者たるヒューザーも「供託」しているはずだから、それで被害者に補償すべきと提訴しなかったのだろうか。政治家たちの中には弁護資格を所有している者もいる。彼らはなぜ沈黙したままだったのだろうか。そして屋上屋を重ねるように新しい制度を創って消費者にすべて負担させ、官僚たちの天下り損害補償基金作りに加担したのだろうか。
今度は中古住宅販売の資格の創設だという。屋上屋を重ねるのはやめて頂きたい。消費者が必要とあればいまでも個人的に建築士を立会の上で中古物件を視認している。これ以上資格漬の社会はたくさんだ。それらのコストはすべて消費者に賦課され、創られた団体には官僚が天下るだけだ。