評論家はなんとでも評せるが、大事なのは具体的に半歩でも解決へ進めることだ。

 飯島氏の突然の訪朝には最初から「陰謀」の影があった。それを何よりも物語っていたのは平常の空港に降り立った飯島氏が多くのプレスに取り囲まれて戸惑った表情を浮かべたことだ。


 おそらく極秘で訪朝する約束だったに違いない。拉致問題解決に向けて水面下で地均しをするつもりだったのだろう。しかし実際には華々しく世界へ向けて報道されてしまった。


 


 北朝鮮は孤立していた。国内には飢えた国民を抱え、政治体制は父親から受け継いだばかりの若い独裁者が体制固めに腐心していた。


 何よりも軍部の支持を取り付けるために強硬姿勢を崩すわけにはいかなかった。しかし軍部の力が増大すれば国力は衰えるのが自然の理だ。なぜなら軍隊とはただただ消費を続けるだけの存在だからだ。


 


 究極の官僚というべき軍部を纏めるのは容易ではない。彼らの権益を守りつつ、各軍の均衡を図るのは若い独裁者にとって薄氷を踏む思いだろう。


 しかも国庫は空っぽだ。それでもミサイル開発になけなしの銭を投じ、核開発に国民の食糧を買うべきカネを乱費した。若い独裁者にとって八方塞の状態だっただろう。


 


 そこに功を焦る日本政府が目に入った。実態のない口先介入と日銀の輪転機高速回転策だけで「円安株高」を創出したと勘違いし、自らも思い込んで悦に入っている無策な安倍政権の隙だらけの外交姿勢だ。


 日本が北朝鮮とサシで外交できるわけがない。なぜなら北朝鮮が日本に求めるものとしたら食糧援助か資金援助の二つしかないが、日本はそのどちらも単独で勝手に実施することはできない。あくまでも六ヶ国協調の中で行動するしかない。


 


 日本が軍事的脅威を北朝鮮に与えているわけでもない。日本の艦船が北朝鮮の東側海岸線を海上封鎖しているわけでもない。ただ朝鮮総連を通じて北朝鮮へ資金献上していたルートを締め上げているだけだ。


 日本が北朝鮮に対して切れる外交カードは皆無に近い。ただ唯一切れるとしたら嫌韓ムードが高まっている日本世論の歓心を買って、一時的にでも韓国を牽制することだ。北朝鮮は遠交近攻という古典的な外交術を使ったに過ぎない。


 


 外交カードを持たない日本政府が功を焦って、これ以上北朝鮮のペースに乗らないことだ。参議院選挙までに安倍氏が突如訪朝するのでは、というバカな見通しを述べる評論家がいるが、彼らは米・中でさえ手玉にとってミサイル開発し核開発したシタタカな北朝鮮を日本と同じ常識的な国だと思い込んでいるとしか思えない。


 北朝鮮こそ軍部の軍部による軍部のための国家だ。つまり偉大なる軍部・官僚国家で、若い独裁者は官僚組織の象徴として君臨しているだけだ。彼らは喉から手が出るほど資金援助を望んでいる。しかし、それは飢えた虎に餌を与えて太らせるだけだ。どうやって虎を檻の中へ閉じ込めるのかを考えなければならない。


 


 飯島訪朝は既に終わった。この後の進展などは何もない。北朝鮮によって「ドアは開いているゾ」というアピールに使われただけだ。奇しくも北朝鮮の軍部高官が訪中した。それも飯島効果によるものだ。


 日本の拉致問題は何も進展しなかったし、今後も北朝鮮が対日の最大のカードを簡単に手放すとは思えない。シタタカな北朝鮮と交渉するには純情可憐な日本政府に荷は重すぎる。ここは六ヶ国と協調していくしかないだろう。ゆめゆめ安倍氏はスタンドプレーに走らないことだ。



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