アベノミクスは血液増強すれば健康になると勘違いしているのと同じだ。
財務官僚出身の日銀総裁は「異次元の紙幣増刷」に踏み切った。現在の通貨量137兆円を2年後には270兆円にするというのだ。
通貨は経済活動では血液に擬せられる。その通貨量を経済原則も屁の河童で2倍以上に増やすというのだ。当然、他国通貨との相対評価で決まる為替相場は「円安」となる。その結果として輸出製品製造業や輸出そのモノを扱っている航空機会社や旅行社などは業績が良くなるとして株を買われ「株高」が実現している。
しかしアベノミクスの実態はそれだけのことだ。実際に国内投資が回復したわけではない。輸出企業の業績が回復するとはいえ、GDPに占める輸出そのものの比率は13%程度と韓国の60%や中国の36%と比較しても圧倒的に低く、輸出が増加して業績が回復する企業は数が知れている。
それよりも大事なのは個人消費だ。個人消費を増大させるには可処分所得を増やすことだ。政府が出来る可処分所得を増やす政策は減税だ。景気を良くするには減税を行うことが良いとされてきた所以だ。
しかし政府は増税まっしぐらな道を突き進んでいる。実は政府がやっていることは増刷により相対的な貨幣価値を下落させ、増税により個人の可処分所得をすべての所得層から等しく掠め取ろうとしている。これは景気後退とインフレを同時に起こそうとしていると見なすしかない。
アベノミクスとはスタグフレーションをこの国で起こそうとしているだけだ。後付けでノロノロと成長戦略を練っているようだが、報道で見る限り成長戦略とはほど遠い目先を誤魔化すお遊び程度のものでしかない。
日本国民は景気後退下の物凄いインフレに備えるしかないだろう。少子社会に碌な対策の手を打たず、人口減・労働者減社会をどのようにして現行の社会インフラを維持しつつ規模縮小社会をうまくダウンサイジングしていくのか、を考えなければならない。
なぜ大胆なUターン投資減税を行わないのだろうか。日本国民による日本国民のための投資を優先すべきが先決なのはいうまでもないはずだ。なぜ世界展開する企業経営者が「有能」だとされ、企業内公用語を英語として英語の使用を義務付けたバカな企業経営者が政府委員となり、英会話資格を大学入学の必要条件にしようとするなど、安倍政権は完全に狂っている。碌に満足な日本語すら話せない、論理だてた思考回路すら形成されていない青少年が「英語が喋れる」のが良いというのは愚策もいいとこではないだろうか。
安倍氏は国家の指導者としてマトモだろうか。昨日の委員会審議で上関原発建設の判断を問われ、「去年の県知事選挙で上関は自公推薦知事の得票率が二番目に高かった」と答弁している。
質問した細野氏は「脱原発」を目指してはどうかと聞いたのに対して、現地住民の多くは自公候補者に投票したと答えたのだ。
自公候補者は選挙請負人から「脱原発を争点にしないために、あなたも「脱原発」を主張すべきだ」と進言したという。「当選してしまえばどうにでもなるから」と言ったかどうかは知らないが、現実にはそうなっている。
上関の住民を悪く言うつもりはないが、既に上関は原発マネーに汚染されている。5000人前後の住民しかいない町に不釣り合いなハコモノが建ち、魚漁協同組合に漁業補償という毒饅頭が配られた。もはや上関で反対するのは困難な状況にすらなっている。
しかし上関の人口は減少している。原発がやって来る町に未来はないと見切りをつけた住民が転出している。そうした現状を承知した上で安倍氏は「上関の県知事選挙で自公候補者の得票率が良かった」という説明はいったい何だろうか。
細野氏は上関に安倍氏のご婦人が飯田氏たちと一緒になって「脱原発」講演会で何回も入っている、ご亭主は「脱原発」に宗旨替えしないのか、と聞いたのだ。果たして安倍氏も原発の毒饅頭を食らったのか、正直に答えるべきだった。
原発建設に未来はない。脱原発と電力自由化は経済成長エンジンの一つになりうる。新規技術開発と新規事業をこの国に起こすことが見込まれるのは脱原発からの動きだ。そうした見通しもないまま原発再稼働に突き進む愚かな宰相として二期目も汚名を歴史に刻むつもりなのだろうか。