日本の責務は経済成長だ。

  G20が日本の責務はデフレ脱却と決議したのなら浅はかな会議だというしかない。G20に出席した日本の財政と通貨の当局者たちは円の増刷による「円安」を叱られるのかとビクビクしていたようだが、元々通貨を増刷して為替操作をしたのは米国のオバマだ。


 彼は一期目の就任時に「グリーンニューディール」と称してドル安政策を果敢に進め「失業を輸出する」と宣言したものだ。つまりドル安により国内輸出産業を刺激して雇用を増やし、輸出相手国の産業に打撃を与える、という戦略だった。


 


 その結果がどうなっているか、現在の米国を見れば歴然としている。失業率は多少の変動はあったものの高止まりしているし、輸出産業が活気づいているとは思えない。


 むしろ問題なのは中流階層が激減して格差が拡大し、富が金融関係者たち一握りが独占しつつあることだ。日本も小泉・竹中時代に推進された新自由市場主義政策により格差は拡大し、生活保護受給者が最大数を更新しているように貧困層が増大している。


 


 それをデフレ経済のせいだというのは間違いだ。日本経済がなぜ長期間デフレ状態にあるのかが問題なのだ。


 政府・金融当局はその原因の多くを円高に求めているが、それも間違いだ。そもそもの原因は通貨市場が投機対象とされていることと日本経済がほとんど成長していないことにある。


 


 ドルをオバマは一期目に円換算で100兆円も一気に増刷した。それにより「失業を輸出」しようとした。しかし米国の輸出産業全般に力強い成長が見られず、国内経済の改善はあまり見られなかった。ただ米国の投機家たちは為替相場を先読みして大儲けに走った。


 次に通貨を増刷したのはユーロと中国だ。ユーロは経済圏内に財政危機に瀕した国家を複数抱え、その救済のために増刷して国債を買うしかなかった。中国は恣意的に元安政策を取り、8%以上の経済成長を維持するために貧弱な内需を無理やり拡大するために公共事業規模を爆発的に拡大した。その原資となったのが禁じられている地方政府の隠れ地方債の発行でその総数は中国政府の財政基盤を揺るがしかねないモノになっている。


 


 既に中国の通貨発行量は100兆元を超えているといわれる。世界の通貨の1/4を中国が発行していることになる。これがバブルでなくてなんだろうか。日本は73兆円の通貨量を2年後に150兆円にするとしているほどの規模だ。日本と大して変わらない経済規模の中国が100兆元も通貨を発行しているとは驚きだ。


 世界は通貨の適正運用に関して話し合わなければならない時代に突入している。為替市場から投機ハゲ鷹たちを追いだし、貿易為替のみを決済する純然たる交換の場にすべきだ。そうしなければ恣意的な為替相場操作により「失業」を輸出したり、日本のように「インフレを輸入しよう」とする馬鹿な政府の出現を許してしまう。


 


 日本にとって必要なのは経済成長だ。そのためには企業の海外展開を支援するのではなく、海外展開により空洞化した国内産業基盤の再構築のためにUターン投資減税を行い、国内に海外へ出た工場や企業を呼び戻して国内経済を活性化することだ。安倍氏は企業の海外展開を促進して国内の新卒者たちの職場をさらに奪うつもりなのだろうか。


 経済成長によるインフレこそが望ましい。円安によりインフレの輸入によるデフレ脱却は単なる悪性インフレに過ぎない。しかも日本は貿易依存型から当の昔に脱却し、GDPに占める割合は14%程度しかない。そこが活性化しても日本経済に及ぼす影響はそれほど大きくないだろう。


 


 国内に踏みとどまっている企業にはそれなりの恩恵を与え、たとえばかつてあった研究費控除や新技術開発費控除などの復活を行い、国内産業界の開発力を高めるべきだ。


 そしてUターン投資減税も行い、全国の空洞化した工業団地へのUターンを促進すべきだ。まずは国内経済を立て直さなくて、どうやって女性の社会参加が促進するのだろうか。チマチマとした政策で平癒するほど日本の病理は軽くはない。



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