物品の関税だけを問題にするTPP議論はマヤカシだ。

 TPP交渉で聖域なき関税撤廃とされている中で、既に米国は自動車の対日関税を当面維持する、という合意に日米が達しているという。それならなんのための TPP参加なのか全くわけがわからない。


 日本の農業関係5品目の関税を当面残すための「見返り」だというのなら、TPPに参加する前の現在の関税のありようとどう異なるというのだろうか。


 


 実際の物品に関する関税交渉はTPP交渉全体21項目の中の僅か2項目に過ぎない。大きなウエートを占めるのは保険、医療、知的所有権、各種国家の制度などが主要議題となるのに、その中身に関してマスメディアは殆ど報じていない。


 恰も物品に係る関税がすべてであるかのような議論は矮小化もいいところで、国民に誤ったアナウンスを伝えるものでしかない。


 


 TPP参加国の対する日本が支払っている関税総額は4000億円ほどで、米国に支払っている日本車の関税は800億円ほどだという。先日TPP参加により関税を撤廃したら数兆円も日本の利益になる、という報道がなされたが、その数字が果たしてどの程度正確か怪しいものだ。


 現在の93円ほどの円安で輸出産業が息を吹き返しているが、現実にTPP参加による関税撤廃よりも円安の方が遥かに大きな効果をもたらしている。TPP参加が日本の国益を実現するというマヤカシの論理を展開するよりも、外国諸国の為替操作による不利益の方が遥かに大きいと認識すべきだ。


 


 国際的な為替市場に対する投機取引の禁止や国家管理による為替相場操作を禁ずる方がもっと重要ではないだろうか。僅か数%の関税を撤廃するか否かと議論するよりも70円台だった為替が93円ほどになったという実質20%を超える関税引き下げと同様の効果をもたらしていることに着目すべきだ。


 国会の物品に関するTPP議論はマヤカシに過ぎない。関税だけを問題とするなら、むしろ為替市場への投機資金の流入や国家による為替操作こそ問題とすべきだ。世界に為替市場の在り方の問題提起をしない「関税撤廃=貿易自由化」という議論は本質隠しに過ぎないマヤカシだと看破しないこの国のマスメディアは節穴か、もしくは本質を知った上で国民を騙しているとしか思えない。



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