マスメディアがやっているTPPの勘違い。

  故意なのかそれとも本当に知らないのか、マスメディアがTPPに関して誤った解説をしているのに驚いた。まず「聖域なき関税」を実施したら平均世帯で年間14万円も支出削減ができる、というものがあった。確かに小麦や食肉に課していた関税を撤廃すれば輸入食料品の価格が関税相当分だけ下落する理屈だ。


 しかしこれまでは関税を課して国民の食糧費に転嫁されていた部分は「特殊法人」の財源であった。食肉に関する関税の大部分は「畜産振興」の特殊法人の収入とされ、官僚たちの天下りの受け皿となり食肉業界への補助金として使われていた。その部分がなくなる、ということを考えれば「特殊法人」の一つが消滅することになり、外国の安い食肉がそのまま国内で流通することになる。


 


 この国の食肉生産業者は壊滅的な打撃を受けるだろう。しかも食肉業者を支えていた各種補助金の財源も失われる。本当に壊滅的な打撃を受けるのは想像に難くない。


 しかもTPPはこれまで交渉されてきた項目は後戻りさせないと米国は参加国に表明している。既に何年にもわたって各国がTPPに関して交渉して来た項目には日本の意見が入り込む余地は全くない。安倍氏はあたかも「聖域なき関税撤廃ではない」と国会で説明しているが、これまで何が交渉されて決まり、何が未決定事項として残されているのかを明らかにしなければならない。


 


 農業分野の交渉はまだ済んでいないのか、それとも既に終わっていて、日本が何を持ち出そうと既に交渉している国々は聞く耳を持たない、というのでは国会答弁は大嘘答弁ということになるだろう。あと何回TPP交渉がもたれるのか、一部では2ないし3回程度ではないかといわれている。既に大部分の交渉は終わっている、というのだ。


 なぜこの際すべての交渉が終わるまで日本は高みの見物を決め込んでいなかったのだろうか。日本の抜けたTPPにどれほどの意味があるというのだろうか。実態は米国だけのTPPということになってしまうだろう。そうすれば一からやり直すことになる。その方が良いはずだが、安倍氏は慌てふためいてTPP参加を表明した。この慌て振りの正体はいったい何だろうか。


 


 来年にも最終決定するといわれるTPPに参加して、安倍氏は何を手にするのだろうか。そして日本国民が失うものの大きさに鑑みて、安倍氏は何を考えているのだろうか訝しい限りだ。



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