まだ懲りない読売新聞。
読売新聞は特集記事で原発再稼働を懸命に訴えている。原発の再稼働がなければ日本はエネルギー不足に陥るだろうとか、原発技術の継承が難しいだのと新聞読者を脅して原発再稼働へと誘導を図っている。
福一原発事故で福島のみならず関東平野から静岡まで放射能汚染され、現在も汚染され続けているという現実には触れようとしない。何となく福一原発20キロ圏外は安全であるかのような報道に終始しているが、本当に安全なのか報道機関は自信を持って報道できるだけのデータを自らの足で収集したのだろうか。
原発技術がいわゆるハイテク技術の粋で、絶えず更新され一日でも遅れると大変だ、というものでは決してない。しかも現在の勢いで世界の原発が稼働され続けると100年持たずしてウランは枯渇する。つまり滅びゆく資源でしかない原発を稼働させることに意を注ぐより、廃炉にする技術を積み重ねて、世界の原子炉が廃棄すべき時期に達した際に日本の技術が生かされるように真剣に開発しておくことの方が大切ではないだろうか。
むしろ非常電源の配電盤をトラックに積んだまま2年以上も使い続けるなどという不心得者が福一原発事故に対応していた事実の方こそ問題にすべきだ。福一原発で使っている放射能除去プラントにしても借り物の仮設のままであってはならない。今後一体何年冷却装置を動かし続けなければならないのか、長期的な視点から真剣に取り組むべきではないだろうか。
万が一にも読売新聞が「原子力ムラ」に取り込まれているとしたら、直ちに手を切るべきだ。原発に依存しなければこの国のエネルギーが不足するとは国民のほとんどが思ってはいない。環境問題に取り組んでいたマスメディアはなぜ原発を容認するのか、むしろ国民の方がマスメディアに説明して頂きたいと思っている。
経済成長期にあった環境破壊と国民の健康被害の記憶が薄れたこの時期に、突如として湧き上がった放射能汚染はこれまであった環境破壊のどれと比較しても汚染面積の規模においても人々に与える健康被害の深刻さに於いても比較対象にならないほど大規模にして深刻だ。それを放置して原発再稼働を誘導する記事を掲載するとは、新聞社の良識はどこへ消えてしまったのだろうか。