「消費税還元セール」という名の販促を禁止すると広報するマスメディア。
「消費増税還元セール」を禁止するのはいかがかと、既に消費増税が決まったかのような報道過熱ぶりだ。まだ消費税の増税実施は決まっていない。この4-6月のインフレ動向により決めることになっている。
だから何が何でもインフレを起こすべく政府とマスメディアは躍起になって「株が上がった」「円安になった」「春闘は満額回答だ」「路線価の下落傾向が底入れだ」と、個人消費を少しでも刺激しようと騒ぎ立てている。
しかし冷静に周囲を見回せば生活保護費は切り下げられ、年金も引き下げられ、ただ円安による輸入物価のみが早くも値上がりしている。つまり可処分所得が増加しないうちに物価だけが一方的に上がるという最悪の事態が進行している。
それでもマスメディアは安倍政権に交替しただけで「株価は上がり、円安になり」と安倍氏を気味悪いほど持ち上げている。まるで胴上げにより宙に舞っているかのようだが、いつ一斉に胴上げの手を引くのか、お互いに安倍氏を持ち上げながら顔を見合わせているようだ。
実際に気色悪くないだろうか。「消費増税還元セール」と銘打つのは禁止にしようぜ、といい歳をした政治家たちが官邸に集まって話しているとしたら。
そうしたバカな話ではなく、デフレ経済下に増税するなどという狂気の沙汰を行ってはならない、むしろ減税すべきだ、というマトモな議論がなぜ起こらないのだろうか。この国の政治はいったん流れが出来てしまうと止まらないヌーの暴走のようだ。
全国的に路線価が下げ止まり傾向にある、などといい加減な解説記事が紙上を飾っている。銀行に日銀から堤防の壊れたダムから大量の水が噴出するように、ダダ漏れの札束が送り込まれているのだから、銀行は何処かに貸し付けなければならない。それが不動産に向かうのか、とマスメディアは憶測記事を書いているが、バブル崩壊で大火傷させられた不動産業者がおいそれと借りないのは明らかだ。あまり人を馬鹿にして政策に都合よく使い捨ててはならないだろう。
前回のバブル期に自民党政府は一体何をしでかしたか。所有10年以下の不動産売買は短期譲渡として利益の98%を税として不動産業者から取り上げたではないか。銀行も政府の「総量規制」という名の下に不動産業者への貸し出し全面禁止という人権差別とでもいうべき悪行の限りを尽くしたではないか。しかも不動産取引監視地区という区域を任意に設けて、懲罰的としか思えない不動産取引妨害をしたではないか。そうしたことの総てをひっくるめて「悪徳不動産業者」という名の下にこの国のマスメディアは悪口雑言を浴びせたではないか。
その結果としてバブルは弾けて、以来20年、一体誰が得をしたのだろうか。もっとソフトランディングする方法はあったはずだ。それをハードにブッ潰したのはマスメディアの連中だ。
いまは安倍政権を持ち上げて好況感を醸し出そうと躍起になっている。既にマネーサプライでは20年前のバブル期を超える通貨が金融市場に出回っている。しかし日本全土に乱舞した不動産バブルは起こりそうもない。まだ前回のバブルで大火傷させられた記憶が業界に生々しく残っているからだ。
次に打つ手がなければアベノミクスはアベノミ(ク)スになりかねない。その時にババを引きたくないのは誰しも同じだろう。因果は巡り巡ってきたようだ。