外交は一元化すべきだ。
つい先日、元総理の鳩山氏が中国へ出掛けて「尖閣は係争地である」と発言した。彼は首相在任中に「東シナ海は友愛の海にすべきだ」とか「日本国土は必ずしも日本国民だけのものではない」とか、意味不明な発言をして物議をかもした前科がある。
「尖閣は係争地だ」というのも意味不明だ。尖閣を実効支配しているのは紛れもなく日本で、様々な史料からも日本固有の領土なのは明らかだ。それに対して横から強引に「尖閣は中国のものだ」と中共政府が喚いている。それだけのことで、別段国際司法裁判所などで争っている「係争地」ではない。
公明党の山口代表がノコノコと中国へ出掛けて習近平主席に会って「尖閣は棚上げしよう」と提案するという。かつての鄧小平の真似かもしれないが、愚かなことだ。
係争地と発言したのは明らかな間違いで日本政府は鼻先で笑えるが、山口氏が「棚上げしよう」と提案するとしたら由々しき問題だ。何をどの期間「棚上げ」するのか日本政府は明確にするように求められるだろう。なにしろ山口氏は自民党と連立政権を樹立し政権の一角を占める政党の代表だ。国会議員を退いた元総理の戯言とはワケが違う。
なぜ山口氏は中国へ行くのだろうか。中共政府が法輪功信者を逮捕し1万5千人ほどを投獄して虐殺したといわれている。今も法輪功を弾圧していることに対して、宗教政党の代表として中共政府に直接抗議すべく乗り込むのなら見上げた心掛けだ。さすがは宗教政党の面目躍如たるものだと賞賛するが、単に「朝貢外交」に出掛けるのなら日本の国益に反するだけだ。行かずに支援団体の信者宅を廻って「消費増税」に対する意見を聞いてみることだ。「現場主義」を唱えているが、それなら税の現場は負担させられる国民生活こそが現場だ。
中・韓に対しては安易な妥協は一切排しなければならない。日本はたとえ外交断絶状態に陥ろうと筋を通すことが必要で、それこそが未来の日中、日韓関係に資するものだ。安易な譲歩は新たな火種を抱え込むだけだ。ここら辺で先送りの連鎖を断ち切らなければ正常な外交は始まらない。この冬の寒気のように凛として接するだけだ。