地方自治の原則は「おらたちの町のことはおらたちで決める」ということだ。
橋下氏たちの主張する大阪都構想は上位下達の地域造りのように思えてきた。つまり中二階の大阪府を排して、同時に大阪市や堺市なども排して、大阪都にしようということだ。地方自治体の最小単位であった市を廃止して大阪都という大きな行政区に取り込むことのようなのだ。
そうすると確かに効率的な行政運営が出来るだろう。これまで府議会と市議会の議決を得なければ実施出来になかった施策が大阪都だけの議決で実行できることになるからだ。
しかし、それが本当に民主的な運営といえるだろうか。民主主義の揺籃と謳われる地方自治がアッサリと消え去り、行政効率の美名の下、たとえば堺市のことをこれまでのように堺市民によって選ばれた堺市議の議決で遂行されるのではなく、大阪都の都議会議員の義決によって物事が進められることになる。もちろん大阪都議会議員に占める堺地区選出の都議会議員は少数派になっているだろう。
つまり大阪都構想とは「おらたちの町のことを、おらたちで決められない」状況が出現することに他ならない。広く大阪都全体の利益のために、かつて堺市で独自に遂行されていた施策が一夜にして廃止されたり、大阪府の意に反してこれまで頑なに拒んでいた事案を大阪都の議会で悠々と通過することになれば、大阪都構想とはそもそも何なのか、という疑問に突き当たるだろう。
地方自治の原則は地方住民が自分たちのことを身の丈の議会で議決できるということだ。堺市市長を選挙でやり替えれば了とする維新の会は実に浅ましい選択をしようとしていることになる。なぜ生身の堺市住民の意見を聞かなかったのかと思えてならない。