「原発ゼロ」は呪縛ではない。

  沖縄を除く各電力会社が火力電力発電で原発の穴埋めをしているため、大量の燃料購入費により経営を圧迫されているという。果たしてそれは本当なのだろうか。そして原発を以前と同じように再稼動すれば電力料金は以前の水準に戻せるというのだろうか。


 


 電力会社が普通の民間企業なら昨年の3月12日には深刻な状態になった福一原発放射能漏れ事故に衝撃を受けて、政府の新「安全基準」を求めるまでもなく自社の原発停止を迷うことなく選択しているだろう。そして従前の燃料の「言い値買い入れ」を廃止して、商社などに世界最安値のLPGを求めて購入の打診を行うなど、厳しい態度で商談に臨んでいるはずだ。


 


 不真面目なほど簡単に経産省は電力各社の料金値上げ申請を認めているが、燃料費高騰を値上げ理由に上げているのなら、世界価格との比較を厳正に行い、その検証結果を国民に開示すべきだ。


 


 原発は発電装置として発電原価が安いと宣伝されてきた。国民もそう信じさせられ、なんとなく「原発は良い」と思い込まされてきた。しかし、原発で造られる発電原価計算は企業会計原則を大きく裏切る「原発のため」の特殊な原価計算を勝手に用いていたのが判明している。未実現のトータル・コストまでを予定原価として参入する企業会計原則とは大きく異なり「発電している時点のみのコスト」を原発発電原価としていたのだ。


 


 民間企業でそんなバカな原価を公式発表して「だから○○は安いのだ」と説明すれば一瞬にして社会的立場を失うだろう。鉄の塊に過ぎない自動車がなぜ高いのか、それは莫大な開発費や無数の高価な金型や製造ラインの構築などもすべて原価参入され、予定製造総台数に按分賦課するからだ。それが企業会計原則に基づく常識的な原価計算方式だ。


 


 この国の電気料金が世界各国と比較して異常に高いのは周知の事実だ。それは原因の一つに競争原理の働かない地域独占を許しているからだといえなくもないが、世界には電力事業を国営でやっている国も少なくない。それなら、電力会社の特殊性だけが原因ではなく、それを監督する立場にある経産省の官僚たちが「国民への奉仕者」たる使命を忘れて、電力会社に君臨する支配者と勘違いしているからではないだろうか。経産省の官僚たちのみならず、この国の官僚たちは一様に「国民への奉仕者」という立場を失念しているのではないかと疑う。


 


 世界の価格相場の6倍もの価格でLNGを購入しているのではないかと疑いを持たれている。電力会社は燃料購入価格と購入先の開示をすべきだ。「原発ゼロ」の呪縛を解け、と産経新聞は書き立てるが、原発の稼動なくして産業界が成り立たない、というプロパガンダを続けることこそやめるべきだ。すでにアルミ精錬などの電気大量消費する産業は日本国内では成り立たなくなり、海外へ移転している。そうした時点でなぜマスメディアは騒ぎ立てなかったのだろうか。


 


 国民の生命や財産を危機に晒すことは許されない。ましてやたかが発電装置の一つで危険なものを稼動させないとする判断を「呪縛だ」という見識こそ疑う。地域社会を破壊し世界を放射能汚染に巻き込む失態を侵した原発を再稼動する不見識さを恥ずべきだ。何が何でも原発の稼動を目論む勢力は、もっと説得力のある本当の理由があるのなら、それを国民に知らせるべきだ。



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