生活保護費7㌫引き下げと2㌫インフレ目標とどうリンクするのか。
政府は生活保護費を段階的に7㌫引き下げるという。果たして国民生活の最低保障を引き下げることに対して、徹底した議論が行われたのだろうか。それなら財政破綻の危機にあるとされる国や地方自治体の職員給与をおざなりに7.8㌫だけ2年間引き下げたのを、徹底した民間比較を行って適正水準に引き下げるのが先決ではないだろうか。
早くも円安効果で輸入物価が上昇している。特に顕著なのがガソリンや灯油などだ。この寒い冬に直撃されて、貧乏人は寒さに震えている。
去年の11月時点、金融緩和を行う前から安倍氏は口先で「財政出動するし日銀にも金融緩和してもらう」と為替介入をして来た。その影響から円安・株高が先行したが、これらはいずれも実体のない思惑に過ぎない。しかし現実生活を既に直撃している。
インフレターゲットを定めて金融緩和するのは日銀の仕事だ。たとえ政府・日銀で合意し共同声明を出したとしても、日銀の首に縄を付けて政府が引きずり回すような仕組みになっていない。
それよりも政府は成長戦略の実施を急ぐべきだ。インフレだけ実現できて経済が成長しなければ単に悪性インフレで国民が困窮するだけだ。
まず景気回復には経済成長がなければならないのは論を俟たないところだ。それなら何を以って経済成長させるのかが問われなければならない。
耐久消費財や家屋は既に行き渡っている。すると買い替え需要しかないのだが、それでは経済成長のエンジン足り得ない。よって内需ではなく、外需へ方向転換しなければならず、海外へ移転した企業を呼び戻さなければ、企業収益が上がっても国内の経済に寄与しないのはここ20年ほどで実証済みだ。
まだ国内企業の52㌫程度の経営者が海外展開の意欲を燃やしているという。そうした生産設備を海外へ移転すれば儲かる、という風説を打破するのが政府の仕事ではないだろうか。国内産業の保護育成と海外企業のUターン投資減税を積極的に実施すべきだ。