この3年半は国家権力が牙を剥いた3年半だった。

  政権交代の前から国家権力は牙を剥いて一つの党を徹底して攻撃した。言うまでもない、民主党代表だった小沢氏を貶める策謀を国家権力が公然と行った元秘書たちの逮捕から始まる「西松建設違法献金」事件や「水谷建設収賄」事件や「政治資金規正法に基づく収支報告書の虚偽記載」事件だ。それらのいずれも小沢氏に関しては「無罪」として決着しているが、現在最終的に嫌疑が残って争っている事件は「政治資金規正法に基づく収支報告書への虚偽記載」事件だけだ。つまり収支報告書という会計帳簿に記載した「期ズレ」が問われているだけの形式違反で、普通なら訂正印を付いて終わりになるものに過ぎない。しかも会計の専門家が「むしろ陸山会の会計処理の方が正しい」と法廷で証言した程度の犯罪だった。


 それをこの国のマスメディアは集中豪雨のように書き立て、テレビではMCやコメンテータが「政治とカネ」と叫ばない日はないほどデマゴーグを公然と行った。法治国家を自認する日本で、逮捕もされていない政治家を基本的人権を侵害して破壊しつくすが如き報道が連日行われたのだ。


 


 そして小沢氏から民主党代表が鳩山氏に移ると忽ち「鳩山氏へ母親から違法贈与」があったとして検察が手をつけ、マスメディアは叩きに叩いた。この方は事実関係が認定され、鳩山氏が贈与税・追徴金を支払ってケリがついた。


 しかし民主党の2代に渡る代表を狙い撃ちにした事件にビビッたのか、次の民主党代表に就任した菅氏は突如として「消費税10㌫」を叫びだし、直後に行われた参議院選で民主党は惨敗した。


 それでも菅氏は党代表と首相の椅子にしがみついていたが、政治資金規正法に基づく外国人からの献金で追及され始めるかという矢先に3.11東日本大震災と福一原発放射能漏れ事故に見舞われ、それを奇禍として半年ばかり延命した。結論から言えば、菅氏は収支報告書に記載のあった「外国人からの違法献金」問題は有耶無耶のうちに消え去った。


 


 同様な事犯に問われるかと思われたのは前原氏と野田氏だ。次に首相に就任した野田氏は常軌を失ったとしか思えないほど「消費増税」に前のめりとなり、他の被災地の復興事業などを失念したかと見えるほど「消費増税」の全力を傾けて、憲政史上大きな汚点として残る「民自公三党野合」によって「消費増税」を衆議院と参議院で議決してしまった。これほど大きな増税策を国民に信を問うことなく大政翼賛的な「民自公三党野合」で勝手に決めるとは、民主主義の破壊行為そのものだが、この国のマスメディアは破廉恥にも「決められる政治」だと持ち上げて正当化して見せた。


 前原氏と野田氏の「外国人違法献金」問題は検察が動くまでもなく消えてしまったのは言うまでもない。すなわち国家権力と化している官僚たちの要請を受け入れなければ徹底して人格破壊してでも罪に陥れるゾ、とのメッセージを小沢氏がやられた仕打ちから読み取り、この国の多くの政治家が萎縮して国権のありようを議論することもなく、無条件に官僚たちの軍門に下ったかのようだ。


 


 この3年半の民主党政権は国家権力による立法の府に対するあからさまな介入だった。いや、国家権力による政治家の壟断が行われたという方が正しいだろう。この国は法治国家でもなければ報道の自由が徹底している上品な国でもない。一人の政治家を貶めるためなら「何でもあり」のリンチ社会だ。その頂点に君臨しているのが官僚であり、三下として国民に広報活動をしているのが官僚によって再販制度とクロスオーナーシップを守ってもらっているこの国のマスメディアだ。


 相互にもたれあう利権関係により、両者は一体化しているかのように密接に癒着している。その最たる証拠が今度の選挙で繰り返しなされた「第三極」捏造報道と、争点隠しの一般的な選挙マターへのすり替えだ。各党が掲げる政策を吟味するまでもなく、民社党から自民党、公明党、維新の会などは明らかに「消費増税」「TPP参加」「原発容認」の一枚岩の第一極を形成している。それらをあたかも対立する選択肢であるかのように国民に提示し続けたのがマスメディアだった。この捏造には犯罪の臭いすらする。


 争点隠しも顕著だった。本来なら三点セットとして国民に信を問うべき「消費増税」「TPP参加」「脱原発」を隠すかのように各政党は曖昧にした。そしてマスメディアも各政党の争点隠蔽化を鋭く暴こうともしなかった。ふざけきったマスメディアだと批判するしかない。


 


 この3年半の国家権力によるあからさまな政治への介入に危機感を覚えない国民が大勢いるとしたら、この国の未来は危うい。今度の選挙が問われているのは民主党から自民党への政権交代などといったコップの中の嵐ではない。この選挙で問われているのはこの国の最高権力者は「主権在民」の国民だという意識を国民が持つか否かだ。マスメディアの誘導に安易に乗って「政党の数が多いからワカラナイ」とか「どの政治家を選んでも同じジャン」とかいうバカばかりになれば国家権力はさらに牙を剥いて国民に襲い掛かる。そうした図式が明確に見える選挙結果が出るのか、固唾を呑んで見守るしかない。



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