この時期に田中角栄氏の「政治とカネ」を特集する読売新聞の悪辣さ。

 読売新聞が11/24の朝刊で一面特集で田中角栄氏の「政治とカネ」をことさら特集している。その中で立花隆氏の碌でもない文藝春秋の読み物「田中金脈研究」を取り上げているが真意が分からない。


 簡単に「田中金脈研究」の内容を紹介すれば、信濃川河川敷を田中角栄氏の関係会社「室町産業」が廉価に取得し、後に道路が通って河川敷が開発されて高額な価格で取引され「室町産業」が大儲けをしたというものだ。


 


 それが法に照らして不当な政治家が知りうる計画街路を先取りして買い占めた「インサイダー取引」に相当するものなら当然刑罰の対象となる。立花隆氏らが騒ぎ立てたことから信濃川河川敷買占めは「田中金脈問題」として注目され告発されたが、結果として不起訴処分となっている。つまり立花隆氏が「田中角栄氏の不法な金脈形成」とした案件は法の裁きを受けることもなく不起訴とされ決着した。そこになんら犯罪性はなかったことになっている。


 


 世間に似たような土地買占めは多々ある。殊更それを民間企業レベルで大規模に実施したのが西武開発だ。西武鉄道を何もない田園地帯に敷設し、前もって駅建設予定地周辺を投網を掛けるように広範囲に買い占めて宅地開発を行って膨大な利益を手にするという土地開発モデルは当時持て囃されたものだ。


 田中角栄氏の列島改造論の時代、似たような話は全国各地にあった。前もって県会議長が山を極めて廉価で買占め、そこが物流センターとして開発されて県会議長が数億円もの利益を手にしたという噂話は全国各地に枚挙の暇もないほどこの国に溢れていた。


 


 小沢氏の土地取引疑惑として検察やマスメディアが大騒ぎした収支報告書の「期ズレ」は田中角栄氏の「金脈研究」よりも格段に疑惑の匂いのしない、世間では極めて普通の土地取引に過ぎないものだ。


 実務者なら「なぜ騒がれるのか」と首を捻るもので、それが収支報告書で「期ズレ」により土地取引が罪に問われるのなら、この国の不動産事業者は国税に土地登記時期について一々お伺いを立てなければならなくなるだろう。その程度のものでしかないのだ。


 


 そうした取るに足らないことを読売新聞は取り上げて田中角栄氏の事件を「政治とカネ」というかなり大きな活字ポイントで打ち出して小沢氏の人格攻撃のプロパガンダとして用いた「政治とカネ」のイメージを故意にダブらせているとしか思えない。


 そして言い訳のようにその見出しの下に申し訳程度に田中角栄氏が失脚した直接原因の「ロッキード事件」を記述している。いうまでもなく、ロッキード事件は結果として日本の法制度が米国の隷属下状態にあったことを図らずも最高裁判所が自白した愚かな証拠に過ぎない。


 ロッキード事件とは米国議会でのロッキード社コーチャン氏の証言により田中角栄氏が航空機購入に際してロッキード社から5億円の闇献金を受けて、田中角栄氏が便宜を払ったとして贈収賄事件の罪に問われたものだ。しかしこの国の国内法に他国での司法取引で証言された「証言」を証拠採用する法がなかったため、急遽法の精神を捻じ曲げた事後法を作って「嘱託尋問を証拠採用する」という、わが国の法史上に大きな汚点を残す特別立法をしてまで田中角栄氏の公判を維持した。が、長年にわたる審理のうちやがて田中角栄氏の死去により推定無罪のまま裁判は終結した。そして田中角栄氏の死後2年近くになって「嘱託尋問によるコーチャン証言」を最高裁は証拠不採用とした。


 つまり田中角栄氏のロッキード事件における唯一の物証とされた「証言」は消え去り、田中角栄氏の裁判とは何だったのか大きな空洞が国民に前に現れたが、すでに物故者となった被告人を擁護する声は日本の言論界にはなかった。


 


 しかし田中角栄氏のこうした経緯を知っているはずの読売新聞社がこの期に及んで特別仕立てに掲載する理由とは一体なんだろうか。小沢氏に冠された「政治とカネ」なるプロパガンダを国民に喚起して、小沢氏を中心として形成されようとする第二極の邪魔をするのが目的だとすれば、その悪辣さにはゾッとする。その精神構造の執拗なまでの小沢氏を政治の表舞台から排除しようとする執念には異常なものを感じる。読売新聞がこの期に及んで特集を組んだ意味を編集局の責任者に直に聞きたい。この国の政治風景をマスメディアが恣意的な策動によって変えようとするのなら、国民はマスメディアの悪辣な策動を告発しなければならない。結果として刑事裁判にもならなかった、違法性がありもしなかった田中角栄氏の「金脈事件」をこの時期に取り上げた真意を読売新聞社には是非とも説明して欲しいものだ。



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