民主党は信を失ったが、自民党が信に足るとも思っていない。

 補選の一つや二つ勝ったぐらいで「自民党に政権を奪還させようという民意だ」と副総裁の高村氏がコメントを出すようでは自民党は何も分かっていない。民主党が2009マニフェストに書いたことを実行しないで、書いてなかった「消費増税」を勝手にやったから民意が離反しただけだ。


 このままでは間違いなく民主党は次期総選挙で解党的な大敗北する。だから自民党が国民に信認されている、と勘違いしてもらっても困る。なぜ民主党が2009総選挙で国民の信を集めて政権交代したのか、を考えなければならないだろう。


 


 理由は簡単だ。自民党の官僚丸投げ政権運営にウンザリしていたからだ。すべては官僚が御膳立てした「官僚の官僚による官僚のための政治」を自民党は推進していた。


 小泉氏は「自民党をブッ潰す」と喚いて官僚支配の政治を打破するかのような幻想を国民にばら撒いて総選挙で圧勝したが、彼がやった政治はまさしく官僚政治そのもので、派遣業法の改正などで中間層を貧困層へと追いやった。


 


 この国の安定的な中間層を細らせた要因に挙げられるのはマスメディアの刷り込みによる「中国へ進出すれば儲かる」「中国市場を目指さない経営者は無能だ」といった安易な企業の海外移転推進論だ。それによりどれほどの国内の職場が失われたか、翻って中国へ企業進出した会社がどれほどの富を国内に還流して国民経済にプラスの影響をもたらしたのかといった冷静なバランスシートを検証したことがあるだろうか。


 


 この国のデフレ経済構造を支えている一面は中国などへの企業進出とそれらの国から大量にもたらされる廉価な生活雑貨などだ。それが経済のグローバル化だというのなら、そんなグローバル化は排斥すべきだ。関税を撤廃すれば国内の大企業のみならず零細企業にどのような影響をもたらすか、中国製品が100均商品の氾濫などで明らかだろう。それが国民生活にもたらした豊かさの反面、国内の地場産業を一体幾つ潰したのかを考えなければならない。しかし100均を愛用して本当に国民生活は豊かになったのだろうか。


 


 官僚たちが煽るグローバリゼーションは眉唾ものではないだろうか。これまで関税撤廃、もしくは関税利率の引き下げなどにより日本の自動車などの輸出がそれほど左右されて来ただろうか。冷静に振り返って頂きたい。


 なぜ米国は日本の自動車が米国市場に進出した当初、関税引き上げで抵抗しなかったのか。それは自国への輸入関税を引き上げればその国への輸出品に対する関税も報復的に引き上げられるからだ。


 実際に米国が日本に取った措置は御存知のように関税利率の引き上げではなく、プラザ合意による為替レート円相場の引き上げだった。それも240円ほどだったものを僅かの期間に120円ほどまで引き上げ、ついには80円ほどのまでに達した。つまり日本の自動車の米国売価が2倍から3倍に引き上げられたのだ。


 


 それでも米国産農産物に掛けられている農産物に対する日本の関税率は例えば小麦などは250%と異常な高利率だ。それは国内麦価を維持するためと官僚たちは理由を説明しているが、それが嘘だと米国にバレてきた。なぜなら国内小麦生産量が一体幾らほどなのかを考えれば明らかだ。


 国内麦価は確かに高関税率によって引き上げられているが、その差額は政府の懐に入っている。TPPによって関税撤廃すれば国内小麦販売価格は劇的に下落するのか。そうした話は国民に伝わって来ない。国内大手マスメディアが官僚の広報機関に堕しているため、官僚に不利な情報は一切漏れ伝わらない仕組みになっている。


 


 しかしTPPに加入しなくても小麦や食肉に課されている高関税率を引き下げれば良いだけだ。TPPが怖いのは日本の制度や仕組み、文化までも関税障壁とみなされるからだ。例えばすでに米国の自動車労働組合は日本の『軽自動車基準』を撤廃しろと迫っている。米国で日本の軽基準の車を造ろうとしないで、日本の制度を撤廃しろというのは余りに傲慢だ。


 この国にはこの国の歴史と文化がある。それをグローバル化の美名ですべてを押し潰してはならない。既に日本は超円高により輸出を実質的に制限され、真綿で首を絞められるように締め上げられている。それを問題にしない政権は国民経済を良くしようとする意思がないといわざるを得ない。


 


 国民に信を問うなら信を問うだけの価値ある政策を掲げるべきだ。財政が悪化したから増税する、というのなら官僚は何も努力しなくて良いことになる。原発による国土の一部が失われ福島県民のみならず多くの国民に健康被害が及ぶ、という真剣な危機感のない官僚たちは原子力ムラの利権擁護を優先しようとしている。


 だが、そうしたマヤカシはネット世論によって見抜かれ、次第に国民に浸透しつつある。大手マスメディアによる世論誘導もしくは操作は限界を露呈し、たとえば電話調査による政党支持率などの世論調査は根拠となる生テープをネットにアップしなければならなくなるだろう。国民は本当の情報を手にし、真実の政治状況を自らの力で学習し知りつつある。そうした大きな潮流の潮目を、永田町に籠っている政治家たちには分からないのだろう。



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