少子社会で噴出する問題は国家衰退の序曲だ。

  少子社会でまず出現するのは限界集落と熾烈な都市間競争だ。都市の周辺部に限界集落が押し寄せ衰退する都市と若者を集める都市とに分かれ、衰退する都市は住民サービスも行き届かなくなり、さらに衰退していくしかなくなる。


 限界集落はなぜ生じるのか。働く場がないからだ。かつては町の役場がその地域の最大の職場だったが、平成の大合併により役場は出張所ほどの規模に縮小され、若者たちを雇用する力はなくなった。働く場がなければ若者は職を求めて生まれ育った町を去るしかない。残るのは僅かな年金で命を繋ぐ年寄りたちばかりとなる。


 


 都市周辺部の町の崩壊は目を覆うばかりだ。やはり平成の大合併の弊害は大きいといわざるを得ない。町の幾つかが中心都市に地方自治体機能を奪われ、町の若者たちは都市と化した市役所に押し寄せる就職希望者たちと、残念ながら太刀打ち出来ないで公務員の道を絶たれる。それが効率的な地方自治体運営に繋がっているのか、というと必ずしもそうではない。地方自治体の都市運営手法が一足飛びに近代化するわけではない。


 


 国の経営自体が近代化しているとはいい難い。依然として官僚たちは昭和高度成長時代然としたシロアリ集団のままだ。制度事業と補助金により支配体制を築いた民間企業と特定法人に官僚たちはせっせと天下っているし、未だに防衛庁職員は整備費や調達品を巡って贈収賄で逮捕劇を繰り返している。


 人事院は労働環境の激変に対処しきれず、公務員給与体系は巨大な既得権益と化している。会計検査院は問題が自然発生するしかない会計制度を放置したまま氷山の一角を指摘して仕事をした気になっている。会計制度そのものの欠陥を指摘しないようでは民間の監査法人の足元にも及ばない仕事ぶりだというしかない。


 


 このような状態のまま、日本は少子社会に突入している。少子社会に対する処方箋を一度は2009マニフェストで民主党が国民に提示して見せたが、直接支給という子供手当ての手法は官僚たちを震え上がらせた。それではシロアリとして自分たちが食いつく旨味がないからだ。保育所建設事業などというのなら保育事業者を締め上げて補助金に対するキックバックたる特殊団体の形成により官僚たちの支配と天下り先が確保される。しかし直接支給なら防衛省予算ほどの予算規模がありながら一つも天下り団体は形成されない。だから官僚の広報紙に成り下がっているマスメディアを駆使して「バラまきだ」と一大キャンペーンを展開して叩き潰してしまった。


 


 この国の国土の均衡ある発展を期すべきがいかに大切かが政治家にも官僚たちにも解っていないようだ。行政効率を高めるためには地方の限界集落は潰して中心市街地へ移転させる方が良いと考えているようでは問題だ。


 たとえば道は中心市街地だけでは機能を持たない。たとえば上水供給は中心市街地だけでは出来ない。たとえば鉄道の保守は中心市街地だけではどうにもならない。地方や山間僻地にも人が暮らすことによって地方の道路や上水の水源地が守られる。それらは都市部と密接に繋がっている。都市だけが独立して存在して成立しているわけではない。東京が極端な例で、東京への海・陸・空の物流を封鎖すればたちまち悲鳴を上げるだろう。人が暮らせなければ都市機能が成り立たないばかりか、一日と経たずして巨大なゴミ捨て場と化すだろう。


 


 少子社会は国家存続の危機だと認識しない政治家は無能だというしかない。2009マニフェストを作った政治家たちとそれを実行しようとした政治家たちは問題の大きさを認識しているのだろうが、それ以外の子供手当てを叩き潰した政治家やこの国のマスメディアたちは無能というより弊害をもたらす国賊というしかない。


 彼らは自分たちが果たした子供手当てぶっ潰しがこの国の30年後に何をもたらすかを知らない。それが現実として分かったときには既に遅しだが、彼らはその時にこの世に存在していないから大丈夫だと思っているのだろうか。


 


 テレビで「地球温暖化」が大変だと訳の解らないコメンテータと化した造園師がCO2削減を訴えているが、CO2と地球温暖化などは論理すら確立していない、利権者が仕掛けた虚構だと理解できないとは驚くしかない。原始地球は巨大な溶鉱炉だったが冷却して生命体が出現した。しかし、その間に地上に酸素は存在していなかったし、CO2の濃度は現在の比ではないほど高濃度だった。それがなぜ寒冷化したりしたのだろうか。CO2温暖化説が飛んでもないまやかしだとなぜ理解できないのか、驚くしかない。ただ省資源で地球環境を守るのは賛成だが、CO2削減の目的のために原発を使うのだという議論は、CO2よりも放射能の方が遥かに危険だという認識の欠落した欠陥論理だ、という認識が必要だ。


 


 少子社会は国土の堅持すら困難になる。少子社会は税収の減退を招き、社会インフラの維持管理を困難にする。レインボーブリッジが赤錆まみれになって崩落する悪夢を我々の子孫は目撃するかもしれない。理由なきCO2に怯えるよりも根拠の明確な少子社会の脅威にこそ政治は立ち向かうべきだ。2009マニフェストを葬った連中に彼らの果たした罪悪が認識される日が一日も早く来なければならないと手遅れになるのだが。



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