「脱原発」は国の安全保障に関わる大衆迎合なのか。

 産経新聞は「脱原発は国の安全保障に関わる大衆迎合だ」と地方自治体の「脱原発」の動きを牽制する論評を掲載した。なんという主客転倒だろうか。国家があって国民がないのなら北朝鮮となんら変わらない。まず国民の安全な暮らしがあってこそ、国家の安全保障を論じるべきではないだろうか。


 


 この国のマスメディアが提起する主客転倒の話にはウンザリだ。たとえば全国紙とテレビが全力を傾けて煽りに煽っている「第三極」の実態を見れば、第三極とは言い難いものだとすぐに分かることだ。民・自・公は与野党で対立する政党を装っているが「消費増税」や「原発再稼動」では全く軌を一にしている。つまり民・自・公は見事なまでに第一極を形成しているに過ぎない。石原新党もまさしく「第一極」の民・自・公と「消費増税」と「原発再稼動」では同一の立場だ。


 


 石原氏までも自らの新党を「第三極」だと自称しているが、文学者としては言葉の定義すら知らない詐称というしかない。対立軸を「消費増税」と「脱原発」と「TPP参加」への賛否の立場で仕分けると第一極が民・自・公と石原新党で、対立する第二極の最大勢力は小沢氏の「国民の生活が第一」だということは誰の目にも明々白々だ。それを隠蔽するかのような石原新党と橋下維新が「第三極」だと嵐のような宣伝を繰り返すマスメディアの常軌を逸した分析能力には驚くしかない。


 


 そしてついにこの国のマスメディアは「脱原発」は国家の安全保障に関わる大衆迎合だと断定するとは何事だろうか。国民の意思を伝えるのがマスメディアであって、上から目線で「お前たちは間違っている。国家の安全保障から原発を止めてはならない」という四肢滅裂な論理を展開するに到っている。全く侠気の沙汰だ。福島の子供たちの健康被害は全く存在しないのか、既に福一原発事故は収束してダダ漏れだった放射能汚染拡大被害は止まっているのか、産経新聞社よ、心して返答して頂きたい。



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