「薩長土肥」をやりたいのなら、石原氏は小沢氏を嫌ってはならない。

 石原氏に必要なのは人をまとめていく包容力だ。年寄りが陥る病弊には「頑固一徹」というものがある。人に対して寛容性が失われ、自身に対する独善性が増す病理だ。石原氏はたぶんに年寄りの陥る病弊が現れているのではないだろうか。「薩長土肥」でまずは官僚政党を倒して維新を成し遂げよう、というのなら真っ先に小沢氏と面会すべきではないだろうか。さもなくば石原氏もマスメディアの寵児の一人だったということになる。


 


 しかし政党である限り政策をおざなりには出来ない。政策が一致出来なければ政権を手に入れると野田氏のように民主党支持者の一票に込めた願いとは真逆に財務官僚の走狗となって飛んでもないことをやらかしかねない。石原氏にはそうした懸念がある。例えば新銀行東京はどうなっただろうか。1000億円という少なくない都民の税が不透明な融資で多くが失われ、400億円を新たに資金導入した。新銀行東京の闇を放置したまま石原氏は都知事を辞任したが、その責任は消えない。


 


 中小企業振興策と不透明な金融実施による銀行の放漫な管理とは全く別物だ。いかに中小企業に資金を回そうと仕事がなければいつかは倒産する。借金の雪だるまが大きくなって倒産するだけだ。


 東京都が巨大な商社となって、東京都下の実に様々な中小企業の技術と特異性を組み合わせて商品企画すれば、国内のみならず世界へ中小企業の製品を売りだせるはずだ。そうした中小企業の力と叡智の結集に東京は力を使うべきだ。


 


 それは当然のこと国家にもいえる。官僚たちはそうした不確定なことは出来ないが、政治家なら責任を背負って出来る。ただし、1000億円が何処に消えたか責任も何も取らない石原氏には無理だ。


 なぜ石原氏は新銀行東京を作ったのだろうか。なぜ資金を地域の信用金庫に委託して「特別融資」を実施させなかったのだろうか。融資するノウハウは信用金庫に蓄積されているし、融資先の実情を掴んでいるのも信用金庫だ。


 


 維新を成し遂げたいというのなら石原氏は長州藩を見習うべきだ。天保8年から幕末まで藩主だった毛利敬親は熱い血潮に突き動かされる若者たちを庇い続けた。吉田松陰は若い頃に脱藩したが「あれには遊学を申しつけてある」として、他藩では切腹ものの罪を一切問わなかった。高杉晋作も19歳の折に「試撃行」と称して脱藩の罪を問われても仕方のない遊学をやっている。それに対しても藩の重臣たちは目を瞑った。文久3年には井上聞多や伊藤俊輔たちの若者5名を国禁を破って英国へ密留学させている。そして木戸孝允の求めに応じて廃藩置県を成し遂げた最後の長州藩主は明治4年に静かにあの世へと去った。


 


 80歳になった石原氏は自らが陣頭指揮に立つも良いが、年寄りの功を示すなら一歩脇に退いて様々な勢力を結集するプロダクターになるべきだ。そして若い有為な人材を年寄りの慧眼で見出し、活躍の場を与えるべきだ。自身は身を捨てて国家のために尽くす覚悟を示すべきだ。


 明治維新のために長州藩は実に多くの若者を失った。吉田松陰の弟子たちで生きて明治を迎えた者の方が遥かに少ない。双璧と謳われた久坂玄随は蛤御門の変で仆れ、高杉晋作は第二次長州征伐の幕府軍を蹴散らすと蝋燭が消えるように結核に蝕まれて慶応3年4月に維新の世を見ることなく他界した。


 


 石原氏の「まずは官僚政治を終焉させることだ」という言やよし。それなら小沢氏を嫌ってはならない。小沢氏こそ現代の高杉晋作だ。


 高杉晋作の偉大さは第一次長州征伐で幕府に恭順した藩の保守派重役たちが実権を握って改革派3家老に切腹を迫り4参謀を斬首し、さらに政務役の粛清を図ろうとした藩の実権を取り戻そうと、僅か80余名で功山寺に挙兵したことだ。そして圧倒する藩政府軍に勝利して実権を握るや、さっさと総大将から退いて実務を井上聞多や伊藤俊輔や村田蔵六などの実務家に任せたことだ。藩庁に詰めて事務を執るなど散文的な自分の性に合わないと見抜いていた。


 


 坂本竜馬も維新の世を見ることなく仆れた。現代の日本社会に暗殺はないし内戦もない。それなら堂々と官僚政治を終焉させる連合戦線を組む役回りに徹してはどうだろうか。年取っているが石原氏が本人の名声を後世に残したいなら坂本竜馬の役回りを勤めあげることだ。断じて老醜をさらしてはならない。既に鬼籍に入った多くの仲間たちに顔向け出来ないような「権勢欲の塊」の哀れな老人になり果てないことだ。



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