欧州中央銀行(ECB)は無制限に国債買い入れを決めたが、

 スペイン国債利率が一時7%を超えてスペインの財政破綻は時間の問題かと思われたが、ECBが財政健全化を条件に無制限に買い入れることを決定し、欧州危機に対してEUが責任を持って取り組むことを表明した。


 しかしECBがスペイン政府を直接統治するわけではなく、財政健全化をどの程度主導できるかによってユーロそのものの信認が失墜しかねず、ユーロ紙幣をダダ漏れに刷り続けることが出来ないのはいうまでもなく「無制限」に自ずと限界があるのも当然のことだ。


 


 世界的な金融問題になったユーロの危機は通貨統合は果たしたものの、経済統合まで到っていない欧州統合過程の途中にある矛盾が表面化したものだ。これまで欧州が世界大戦の火薬庫として度々戦禍を引き起こした過去に鑑みて、欧州統合して欧州発の戦争を根絶しようとしたEUの精神は理解できる。しかし、域内に存在する13もの国々の制度と経済力まで統合することは不可能で同じレールの上を規格の異なる貨車を同一の列車に連結して走り続けることが果たして出来るのか当初から危惧されたことだ。


 


 国家にも人と同じように盛衰がある。国家の各種制度設計が時代にマッチし、国力が増大し国民経済が勃興する時もあれば、官僚たちの権力が硬直的となり税収と仕事に見合わない報酬を国家にたかるようになると国力はみるみる低下し衰退していく。それが域内のすべての国に同時期に起こることはなく、それぞれに制度と事情の異なる独立国として存続する限り欧州統合は困難な局面に絶え間なく直面し、ユーロは揺らぎ続けるだろう。


 今後も欧州は完成しない永遠の通貨統合という実験を続けるつもりだろうか。EU統合の道を引き返さない、とECBは宣言したが、それなら各国政府の独自性を制限しなければならないだろう。欧州統合の全欧州政治組織を構築し、各国政府の権限は日本の都道府県に相当する程度に欧州統合政府の管理下に入らなければならない。しかし、そうした統合には労働生産性の良い国から生産性の悪い、つまり働かない国民のいる国に「交付金」を支援し続けなければならないことになる。そうした状態をドイツ国民は受け容れるだろうか。


 


 国家が民族自決主義を前提としているのは同一民族ならそうした国家による富の再配分に合意を形成し易いからだ。多民族国家なら絶えず富を奪われ地域と絶えず富を奪い続ける地域との民族が異なれば不満が鬱積して国内の不安要因になりかねない。それを抑え込むために中国は軍隊を国外ではなく、国内の異民族抑圧のために使わざるを得ない状態にある。しかしそれをEUで行えばEUを作った意味がなくなる。いずれにせよ、欧州は一つの時代を越えようとしている。その峠の向こうに広がる景色は一体どんなものだろうか、希望に満ちた大平原が洋々と広がっているのか、それとも困難な悪路が今後も待ち構えているのか、それを決めるのも欧州連合に参加している各国の叡智だ。


 


 それにしても日本の政治家たちは一体何をやっているのだろうか。特に民主党と自民党の国会議員の責任は重い。代表選にかまけている場合ではないが、すべての国会議員の仕事を放置してコップの中の嵐に翻弄されている。そうしたどうでも良いことをマスメディアは煽って毎日のように下らないコップの中の合従連衡を騒ぎ立てる。


 民主党も自民党も国民不在の「消費増税」を翼賛野合によって決めた同罪の政党だ。公明党も含めて合併した方が国民には分かり易い。それぞれの政党に分かれている合理性は一体何だろうか。EUではないが、官僚支配政党として合併することをお勧めする。



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