この国で改革すべきは官僚制度だ。

 政治家同士を相食みさせて、マスメディアは相撲の行司よろしく「はっけよい、のこったのこった」と政局・政争を囃し立てているかのようだ。そうした一環に領土問題までも巻き込まれ、政治家がなすべき役割まで掻き混ぜられて呆然としているかのようにみえる。いや、そもそもこうした事態に対処すべく政治家が自らに厳しく人格を磨いていない現実こそを嘆くべきかも知れない。


 


 かつて、政治家たちはそれぞれが師と仰ぐ人物に師事して人格・人品を磨いていた。たとえば陽明学者安岡正篤氏の許を多くの保守政治家たちが教えを乞うために訪れた。首相だった田中角栄氏が米国発のロッキード事件にまみれ、退陣する際に官房長官を勤めていた竹下登氏が「談話」を発表したが、「一夜、沛然として大地を打つ豪雨に、心耳を澄ます思い」と、国民世論が騒然とした様に退陣を決意した下りで、最初は「耳を澄ます」としていたものに「心耳」と加筆したのは安岡氏だったことは有名な話だ。


 


 ドングリコロコロの話も悪くはない。しかし首相が自らを「ドジョウ」とは余りに稚拙な表現ではないだろうか。田中氏は敗戦後の昭和を力強く日本を世界へ押し出そうとして米国に睨まれ東京地検特捜部と最高裁の超法規的措置「嘱託尋問調書」により失脚させられた。竹下氏は昭和から平成へ粛々と時代を繋いだ。彼もまたリ東京地検特捜部によるクルート事件で失脚した。


 官僚たちと政治家との熾烈な暗闘があり、ついには捜査権と公訴権を併せ持つ特捜部により政治家が相次いで失脚させられるという官僚たちの圧勝で終わっている。それ以降政治家は見る見る小粒となり、天下国家を語る人物は次第に姿を消した。そしてついに一国の首相が就任の弁で短い童謡のような詩を語り、自らを「金魚」ではなく「ドジョウ」だと称した。そしてまさしく野田氏は泥鰌だった。泥底から政界の水面に顔を出した途端に、アッという間に官僚という白鷺に食われてしまった。


 


 政界は米国流のプラグマティズム真っ盛りの様相を呈している。実利主義とでもいうべきバッジをつけたタレントがテレビカメラの前に毎日のように登場して一幕もののコントを演じているかのようだ。そこで語られるのは「役に立つか、立たないか」を自画自賛する宣伝合戦だ。含蓄のある言葉で天下国家を俯瞰してみせる政治家は滅多に登場しない。


 橋下氏は自らを坂本竜馬になぞらえて「維新八策」と称する政策を発表した。しかしそれは坂本竜馬が「船中八策」で示した維新後の政治体制とこの国のあり方という大方針とは全く異なる。


 


 さざ波程度のモノを大波に仕立て上げるのはマスメディアの得意技だ。毎日のようにテレビ画面の中に登場させれば嫌でも国民は認知する。そこにテレビ・コント向きのフレーズを発すれば週刊誌は面白おかしく脚色して流布する。地方分権や大阪都を実現するために次期衆議院選挙で全国の選挙区に落下傘候補を擁立する、とぶち上げた。


 自民党に第二自民党の野田民主党、そこに第三自民党の橋下新党と、同一選挙区に三人の自民党的な政策を掲げる候補者が乱立することになりそうだ。それらは国民生活にそれほど大きな影響を与えない、永田町のコップの中の嵐だ。


 


 やはり2009民主党マニフェストは秀逸だった。マスメディアは「ばら撒きだ」と批判するが、直接支給という官僚利権に寄与しない制度による政策は官僚たちを震撼とさせたはずだ。


 これまで軽視されて来た若者・子育て世代を重視する政策も画期的だった。少子社会がいかに悲惨かをマスメディアはもっと国民に報せなければならない。


 官僚制度も具体的に「歳入庁」の創設により財務省から「国税庁」引き剥がしにより、田中氏や竹下氏や金丸氏たちが「国税庁」の査察の協力により東京地検特捜部の捜査を実質的に支えた過去に鑑みれば、財務省による政治家支配が終わることになるだろう。そうした大改革にも拘らず、この国のマスメディアは殆ど報道しない。あたかもマスメディアにとって官僚支配国家であり続けることが望ましいかのようだ。


 


 かつて征韓論で西郷隆盛は自らが朝鮮半島へ赴き、自らが朝鮮人により殺害されることにより朝鮮半島を討伐すべきだと考えていた。尖閣諸島に船溜を設置し民間人を常駐させようとするのが東京都の計画のようだ。しかしそれでは形を変えた「征韓論」になりかねない。常駐すべきは民間人ではなく自衛隊ではないだろうか。そして船溜ではなく自衛艦船が接岸できる埠頭と、中国を監視するレーダーサイトを山の頂上に設置すべきだろう。そして徹底した防衛体制を整えるべきだ。中途半端は却って紛争を呼び寄せる。日本国民が日本を守る気概を世界に示さなければ隣国は日本を蚕食しつづけるだろう。



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