第三極とは一体なんだろうか。
橋下氏たちと安倍晋三氏が何度も話し合っていたという。今の時点で安倍氏が橋下氏たちの「維新の会」に合流するかどうかは不透明だというが、唐突の感は否めない。
いうまでもなく安倍氏は自民党の中でもミスター自民党と呼ばれる「清和会」の幹部だ。元総理でもある。
その安倍氏を維新の会との合流に誘っていたとしたら、橋下氏たちの目指す政治勢力の「第三極」とは一体なんだろうか。
すでに橋下氏の政治理念は「バラバラだ」と馬脚を現している。その最たるものが「原発再稼動容認」だ。期間限定という摩訶不思議な条件をつけたりしたが「電力不足」を誰に教唆されたのか知らないが、突如として脱原発から豹変した。
電力会社や経産官僚たちがいっていた電力需給予測がいかにいい加減なものだったか、この夏の酷暑と計画停電なき電力需給が物語っている。実際に関電の電力需給が90%を越えたのは2回だったという。
官僚たちは平気で嘘をつく。国民は知らしむべからず、寄らしむべし、との態度は依然として健在のようだ。
電力需給の予測は当然ある幅を持って語られるべきものだ。その幅を示さないで「原発再稼動でなければ計画停電のみならず、産業界は大変だ」とマスメディアに煽らせる。御用評論家がその線で書きたてた。
その動きに乗った橋下氏は政治家ではない。単なるマスメディアに踊らされる「批判精神なき大衆」の一員だ。だから大衆を扇動できるのかもしれない。しかし安倍氏と何度か会談を持ったとすれば致命的だ。
安倍氏は「消費増税」を目指した自民党の中心にいる。安倍氏は祖父・岸信介氏譲りのガチガチの「日米同盟論者」だ。
第三極というなら小沢氏と会談すべきだ。国家として日本の真の独立を目指す政治家は小沢一郎氏の方だ。「消費増税」も反対した。何よりも現行の行政制度改革を唱えているのも小沢氏だ。
橋下氏を第三極の旗手と持ち上げるのは危険だ。すでに彼の鎧は衣の下から見えている。公務員を苛めているように見えるが、制度としての行政を改革しようとはしていない。なぜ大阪市に「歳入部」を設けて大阪市への入金を一極化しないのだろうか。やろうと思えば刺青対策よりも簡単なことのはずだ。
どうやら「近いうち」の解散はないようだ。有権者は橋下氏劇場のネタ切れと舞台裏の事情洩れにより「維新の会」がいかに底の浅いドタバタ劇かを知るのによい冷却期間になるだろう。
そして橋下人気に再選を賭けて集まる政治家たちも底の浅い同類に過ぎないと判断すればよい。