石原氏や松石たちの「小沢新党」への言及は勇み足ではないか。
相撲に「勇み足」という手がある。土俵際で相手を押して追い詰め、勝ったと思って足を出して自身が倒れるのを防いだつもりが、まだ相手は土俵を割ってなくて負けてしまうことだ。
松井氏たちは橋下氏の「維新」に属しているが国政選挙に踏み込んでいるわけではない。大阪都構想といいつつ、やっていることは大阪府と大阪市の歳出削減だけで、制度そのものの変革である行政改革にも及ばない、小手先の改善をやっているに過ぎない。
石原氏は、というとまだ何もやっていない。膨大な損失を東京新銀行で仕出かしても一切責任を取らず、オリンピックの東京誘致運動で巨額な使途不明金を出しても明細の説明もしなければマスメディアも庇うような態度に終始して追及しない。東京都知事として現在活躍しているだけであって、国政政治に関しては全くの未知数でしかない。「新党」を立ち上げると周辺に流してみたり、あれとは組むがこれとは組まないとか、憶測記事をマスメディアに書かせて悦に入って喜んでいるだけだ。実態は小沢氏の「新党」構想の足元にも及ばない児戯程度のものでしかないのだ。
実際に民主党と自・公が仕出かそうとしている「消費増税」について石原氏が見解を初めて述べたようだから関心を持って読んだが、経済に関してこれほど無知だったのかと驚いた。
国家財政が窮乏しているのだから増税するのは当たり前だ、とは無能な財務官僚でもさすがに、そんなバカな発言はしないだろう。増税と景気との関連、消費税とマネーサプライの関係、等々を検討して発言するのが責任ある政治家の姿だ。
おそらく石原氏は「消費増税」を断行すると経済にどのような影響が及び国民生活はどうなるか承知しているだろう。その上で故意に相手を煙に巻く発言をしてごまかして見せたのだろう。
しかし政治家の発言が単に落語に出てくる江戸時代の長屋の与太談議のクマさんハチさんの掛け合いの程度で誤魔化してはならない。政治をオチャラケたバラエティーに貶める者は政治によって手痛いしっぺ返しを受けるだろう。
橋下氏や松井氏たちがやっているのは大阪府と大阪市を舞台とした公務員の駄目さ加減をネタにした「お笑い番組」のようなものでしかない。目新しいテレビ番組に国民が齧りついてヤンヤの喝采を送っているが、果たしていつまでネタが持つのか。いかに多くの大阪府や大阪市にダメ公務員がいたとしても、行政が行政として機能して来たのだからそれなりの公務員もいるのだろう。公務員バッシングだけのバラエティーをマスメディアに提供するのではなく、大阪都に到る行政制度改革の道筋を示して、その一里塚に向かって歩み出さないと、大阪府民も待ちくたびれるだろう。小沢氏たちと「組む」とか「組まない」とかいう前に、大阪維新の会は何をするのかを示す方が先だろう。