最低年金と一元化の撤廃を迫る…自民党の社会保障案

 自民党が民主党の社会保障改革(案)に対して対案を示そうとしているようだ。その骨子は民主党が掲げる最低年金を撤回させ、年金の一元化にも反対して社会保険制度を維持する、というもののようだ。


 それなら現行の社会保険制度と何処が違うというのだろうか。しかも自民党案では「自助努力」を求めるという。疾病や高齢により自助努力が出来ない人に対して文化的にして最低の生活を保障するのが社会保障本来の在りようだ。


 


 自民党案では社会保険料が将来受給する年金額に比例すべきモノとの強い意志が感じられる。それは果たして正しいのだろうか。社会保障は「応能負担」であるべきか、それとも保険料は受給資格の保障証なのだろうか。


 おそらく自民党の支持者には高額所得者が多いのだろう。だから現役時代に支払った保険料の額に応じて多くの年金を受給すべき、と考えているようだ。それが果たして正しいのだろうか。


 


 現行では賦課方式が採られている。現在年金世代が手にしている年金は現役世代が支払った保険料に税を投入したものだ。


 現役世代から漏れなく保険料も税も徴収して年金世代に支給している。しかし暮らせない年金の「国民年金加入者」は現役世代で納める保険料が一定だが、所得の割合でいえば概して高額だ。それでなくても僅かな年収で生活している人たちにとって月額1万6千円は重い負担だ。だから年金支給世代の人たちの収納率が60%を割り込んでいる。生活保護の方が国民年金より多いから、国民年金の受給資格を得る必要もないというモラルハザードをもたらしている。


 


 特権に胡坐をかいている政治家たちや高給を得ている官僚たちの社会保障改革(案)は現実の社会保障とはかけ離れたモノになっている。優雅な老後を送るために貧困な国民にも「消費増税」を課して財源にしようとしているのだ。与野党を問わない、年金制度改革は貧困層を集めて議論させることだ。



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