原発事故が起こったのは菅氏の問題なのだろうか。

 国会に設置された事故調査委員会が時の首相菅氏を呼んで聴取したが、前日の時の官房長官枝野氏に続いて政府要人の証言として責任の所在が問われている。


 もちろん、時の最高責任者として菅氏や枝野氏の責任は逃れられないが、常識的には「原子力ムラ」の責任こそが重いと思わざるを得ない。


 


 原発を推進する各委員会に対して、原発を厳しく監視する「原子力委員会」が絶えず緊張関係にあってこそ、原発行政が「安全性を確保」できる最低限の条件だと思う。しかし現実はすべて「原子力ムラ」の住民であったことこそが最大の問題だ。そして福一事故後も「原子力安全委員会」の委員どころか会長までも事故以前と同じメンバーのままだ。断わっておくが彼らは行政などが設置している「委員会」と同じく日当程度しか報酬の出ない類のものではない。原子力委員長は月額93万円もの高給を食んでいるのだ。


 


 役に立ちもしなかった経産省の「原子力安全保安院」なども、誰一人として責任を取って辞めたとは聞かない。様々な「安全装置」は結果として原発事故に対して無力だった。しかも6年も前に地震による巨大津波を警告していた専門家に耳を傾けようともしていなかった。専門家と称する連中が利権の囲い込みだけに熱心だったことが判明している。


 


 そして新たな原発の「安全確保」を目指す機関を何処に置くかが問題とされているが、枝葉末節な議論だと思わざるを得ない。


 討論する場合でも反対論者を呼ばないで一方の側だけの論者を集めて碌な討論が期待できないのは分かり切ったことだ。規制側の委員会設置に関しても現行の「原子力ムラ」の住民を充当して済ますつもりなら何処に設置しようと無駄だ。


 


 これまで何十年も高給を食んで、福一原発事故に関して碌なマニュアルもなく、原発事故現場近くに「放射能遮蔽」仕様の事故対策指令室を設置することもなく、10年1日のごとく何もしないで「安全」の印鑑を押し続けた歴代委員たちの責任たるや放射能汚染の現実に鑑みるまでもなく、地球よりも重いといわざるを得ない。しかし原子力ムラの中に安住している連中にそうした牽制意識が働かないのは言うまでもない。


 


 原子力の専門家だけを集めていたことに対する反省をまずしなければならないだろう。原発は原子物理理論や科学理論だけで成り立っているのではない。建築物や構築物として具体的に稼働するのならそれらの専門家も入っているべきで、各設備が電気で動いているのなら電気の専門家もメンバーに入っていなければならないだろう。そうした多様性と各分野の専門家の目で原発の安全性を監視しなければならない。


 


 すべての原発を再稼働させてはならないが、それでも原発の安全性を絶えず監視する機関は必要だ。廃炉にして建屋を解体しても原発本体はコンクリートで固めたにしても、原発の安全性を管理し続けなければならない。放射能が出なくなるまで何万年も、原発の安全性を管理し続けなければならない。そうした気の遠くなる地球の歴史と付き合わなければならないエネルギーに人類は手をつけてしまったのだから。



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