「吸引」のいたちごっこは尽きることがない。
吸引することによって各種障害が起こるには何も薬物だけではない。既に御記憶が薄れているかも知れないが、ガスボンベを吸引したりスプレーを吸引して、中のガスを肺に送り込むことにより酸素交換を妨げて意識障害が起こるのを楽しむ、という死亡遊戯とでもいうべき遊びが流行ったことがあった。
その他にも首を絞めて意識が遠のく「オチル」感覚を楽しむ遊びが流行したことがあったが、まさに死の淵をさまよう非日常体験を楽しむ若者はいつの時代もいる、ということだろう。
法律で限定列挙している「薬物」に入らなければ良いというものでないことは明らかだ。スプレーの二酸化炭素を吸引すれば肺胞での酸素交換が妨げられ、脳が酸欠になって意識が遠のくのを「飛ぶ」といって楽しむのは、自分が廃人になるかもしれないリスクと引き換えなのだと認識しているのだろうか。
義務教育で「吸引」の対象が何であれ、危険だということを教えなければならない。薬物として「限定列挙」されていないからハーブは良いのだ、ということではない。なんであれ、吸引は大変危険だ。
酸欠の地下室へ入れば人は即座に転倒して死の淵へ引き摺りこまれる。それと同じことが「吸引」で起こっていることを教え、「吸引」の恐怖をしっかりと教えなければならない。
薬物の限定列挙に流行りのハーブを入れても、すぐに別のハーブを代用として探すだろう。そうしたいたちごっこではなく、「吸引」そのものの害をしっかりと教えなければならない。