世界のどの国にも歳出削減なき財政改革はいかに増税しても成功した前例はない。

 歳出削減努力なしに、古今東西いかなる国においても増税で財政再建を果たし例がない。大胆な歳出構造の改革を行わない限り、底の抜けたバケツに水を汲んでも、決して貯まることがないのと同じことだ。


 


 消費増税が今月末にも閣議決定されるようだが、野田政権のやっていることは狂気の沙汰だ。こうした増税ドタバタ騒ぎを演じて、ここ二十年以上も続く全国的な公示価格の下落状態にある国民経済のありようを検証しない政治家とは何者なのだろうか。


 


 デフレ経済は確実に国民経済の基礎体力を奪い続ける。信用収縮だけでなく、経済の血液ともいうべきカネの流量を減少させ、物資の動きを悪くさせる。土地価格が下落し続けている中で、慌てて土地を買う者はいない。つまり新規住宅着工件数の減少に繋がり、全体的な消費の冷え込みとなる。


 


 売れなければ価格を下げるしかない。かくしてテレビやPCは価格崩壊状態になっている。自動車もコンパクトカーでは激烈な価格競争が始まるだろう。基礎体力のない企業は退場するしかない状態へと追い込まれるだろう。


 


 愚かな経済評論家がギリシャの国債残高よりも日本の国債残高の方が遥かに大きい、と比較して見せるが、その中身の検証をしないままに日本もギリシャ並みに国家破綻に見舞われるだろうと危機感を煽る。


 


 危機感がないのは官僚たちだ。彼らが提出する予算は決まって対前年比増のバブル期以来、一度として「自律的に」収支バランスを取ろうとしたことがない。財務官僚の独善的な振る舞いには怒りすら覚えるが、国民の代表者たる政治家が財務官僚の掌で踊っていては世話はない。かくして消費増税案が閣議決定される。


 


 国民は政治家の誰が「消費増税」に賛成し、誰が「先にやることがあるだろう」と反対したかを、しっかりと記憶に留めておくことだ。そして次の選挙で財務官僚のいうがままに、社会保障の一体改革案すら提出しないで行政改革を後退させる増税に賛成した・もしくは増税を推進した連中を落選させよう。そうするしか、この国の仕組みを抜本的に改革することは出来ない。


 


 この国には緊急課題が目白押しだ。電力各社をどうするのか、自然エネルギーによる電力を大幅に増やすつもりなら電力各社と対等な関係にしなければならない。現行の「全量買い取り制度」ではあくまでもイニシャティブを電力各社に残したままで、経産官僚たちと組んでどうにでも出来る仕組みでしかない。それなら、何処も本気で設備投資に乗り出さないのは自明の理だ。


 


 原発をどうするのか、福一原発の終息をどうするのか。野田首相は収束宣言を早々と出したが、とても収束したと言える状態ではないし、新たに放射能がダダ漏れの状態なのは明白だ。いつまでおざなりの蛇腹のビニールパイプで対応するつもりなのだろうか。事故から一年以上も経って、恒久的な放射能除去プラントが構内に設置されていないとしたら。この国の工業技術はどうなっているのか疑わざるを得ない。


 


 国際的なヘッジファンドの傍若無人な振る舞いに規制を加える働き掛けを日本はすべきだ。為替市場へ投機資金を投入してみたり、原油先物取引市場に投入してみたり、穀物先物市場へ投入してみたりと、その振る舞いによって世界人類は大いに迷惑を被っている。むしろ迷惑というよりも金融盗賊というべきだろう。たとえ米国政府の反感を買おうとも、日本政府は世界人類のためにヘッジファンドの投機的行動に規制を加えるべきと提案すべきだ。


 


 国内金融においても通貨当局はマネーサプライを倍程度に増やすべきだ。その方法は市場金融を通じてでは無理なので、政府支出を通じて行うしかない。そうすればデフレ克服と円高対策が同時に達成できるだろう。円が100円から120円程度に下がればこの国の経済は劇的に回復する。そうすべきだと、これまでも書いてきたし、これからも書かざるを得ない。



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