半導体の開発と生産を分離して生き残りを図るべきだ。

 半導体はこれからの製品製造に対して欠かせない部品だ。それも汎用品から特別仕様の少量多品種に渡るまで機敏な対応を必要とする。その様態に対して「エルピーダメモリ」のような国内企業の合併と国策的な業態では企業活力も失われるだろうし、機敏な環境への対応と、少品種の要請に対して開発力が伴うのか疑問だった。


 


 汎用製品に対しては日本の半導体企業は価格で対応できないだろう。それは企業が非効率という意味ではない、為替の異常な円高に問題がある。半導体を組み込んだ電気製品などは熾烈な価格競争にさらされ、原価削減から安い韓国製の半導体を使わざるを得ない面もあるだろう。それもこれも為替のなせる業だ。


 


 この国の通貨当局の能天気振りには驚くというよりも怒りすら覚える。80円台になって「円安だ」と報道しているテレビキャスターたちの感覚もおかしいし、それでホッと一息ついている日本政府もおかしいと言わざるを得ない。円の対ドル為替レートの適正値がいくらぐらいか、経験則から通貨当局は承知しているはずだ。それなのに80円程度で安堵の色を浮かべるとは何ということだろうか。


 


 貿易立国日本の現実は内需国になっている。今さら「内需拡大」などと叫ぶ必要はないし外国から日本の輸出に対して非難されるいわれはない。GDPに占める割合でみれば日本の貿易は14%台で韓国や中国の軒並み36%台と比較して十分に「内需」方の経済構造になっている。それを20%台に戻したとしても非難されるいわれはない。「集中豪雨的輸出だ」と米国が激怒して日本の輸出産業を散々苛め、円高へ強引に誘導した「プラザ合意」当時ですら日本のGDPに占める貿易は30パーセント程度だった。日本国民は少しは怒った方が良いのではないだろうか。


 


 エルピーダメモリに話を戻すと、日本の産業界は断じて半導体分野から撤退してはならない。開発分野に関しては優秀な技術者を外国に取られることなく、国内でしっかりと引き続き雇用ししかるべき待遇をすべきだ。半導体の新規開発なくして電気関連の新規製品も開発されないだろう。産業界の「コメ」となっている半導体から撤退する愚策をは断じて選択してはならない。


 生産分野は精密機械化が100%近いから、為替さえ正常に戻れば外国製品と十分に戦える。それまで日本は国家として支えることだ。今年になってからでもバカな為替相場への介入で6兆円もスッテいることを考えれば、安いものだろう。


 


 為替は相場へ介入してもダメだ。悪辣なヘッジファンドを肥えさせるだけだと、何度も指摘したが、日本の通貨当局はそれと知って日本国民の富をヘッジファンドにプレゼントして「円高是正のために為替介入した」とバカげた言い訳をしている。それは二重の意味で日本国民に対する裏切りだと、彼らは承知してやっているのだ。


 本質的な為替是正は簡単なことだ。国内で数十兆円(経済学者によっては100兆円という人もいる)ばかり政府支出として根拠のない円を増刷して消費することだ。金融市場を通じて自律的なマネーサプライを増やす「利率引き下げ」策はこのデフレ下に作用しないのは火をみるよりも明らかだ。


 


 デフレ下の増税でも消費が増えて景気が良くなる、などと恥ずかしくて読む方が赤面するような珍論文を「御用経済学者」が大手マスコミの発行する新聞に掲載して国民に増税は「良い」と刷り込もうとしているが、学者として良心があるなら止めることだ。それこそ本気でそう思って「太陽が西から昇る」といっているのなら学者を辞めることだ。彼らに大学で学ぶ学生たちが可哀相だ。


 


 米国は中国や韓国の通貨が安くても文句を言わないが、日本に対してはなぜ激怒したのだろうか。そして今も円高を日本が維持することを望んでいるのだろうか。それは米国のためであっても日本のためではない。エルピーダメモリを日本は金融業界も含めて産業界の総力を挙げて守り抜くことだ。そして将来に於いてウィンドウ型のOSに打ち勝つ基本ソフトを作って情報を国家として管理することだ。そのためにも半導体の開発力を常に涵養していなければならない。



このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。